この記事でわかること
- AIの外注が、従来のシステム開発やWeb制作の発注と違う3つの点
- 契約の型は3つある(汎用サービス利用型・カスタマイズ型・新規開発型)という前提の整理
- 発注前に確認すべき7項目(入力データ・成果物の定義・権利帰属・検収基準・契約の性質・アカウント名義・引き継ぎ)
- 「精度が出ること」を検収基準として言語化する具体的な書き方
- 個人情報を含むデータを渡すときに、委託・第三者提供・越境で変わる手続き
- 提案・見積もりの段階で気づける、危ない兆候5つ
AIの外注が、通常の開発発注と違う3点
AIの導入や業務自動化を外に頼むとき、多くの会社はこれまでのシステム開発やWeb制作と同じ感覚で契約に臨みます。ところがAIの案件では、発注側が「渡すもの」と「受け取るもの」の両方が、従来の開発と性質が違います。
渡したデータが、相手の資産になり得る
通常の開発では、渡した仕様書や素材が受注側の資産になることはあまりありません。AIの場合は、渡した社内文書や取引データが学習や改良に使われると、その効果が相手側に残ります。経済産業省のチェックリストでも、ユーザーがベンダに提供する情報(インプット)について、定義・提供条件・利用目的・利用条件・保持期間と消去・権利帰属・第三者提供までを確認項目として並べています(出典:AIの利用・開発に関する契約チェックリスト(令和7年2月)|経済産業省)。
一度学習に取り込まれた情報を後から取り除くのは難しい「完成」の基準が決めにくい
Webサイトは表示されれば完成が判定できますが、AIの出力は確率的に揺れます。同じチェックリストでも、AIモデルは学習データにもとづく帰納的な手法で作られるため、完成義務の設定や性能保証が必ずしも容易でないことが指摘されています(出典:AIの利用・開発に関する契約チェックリスト(令和7年2月)|経済産業省)。検収基準を「精度が出ること」と書いても、判定できません。
成果物が「手順」であって「物」ではない
AI活用の成果物は、プロンプト、処理の流れ、判定のルール、チェックの観点といった手順の集合になることが多いです。この手順が発注側に残らないと、契約が終わった瞬間に業務が止まります。ソースコードのように目に見える形で納品されないため、納品物の一覧に入っていないまま進行しがちです。
「何を納品物と呼ぶか」を最初に言葉で定義するこの3点はすべて、契約書の書き方ではなく「発注前に何を決めておくか」の問題です。以下では、経済産業省のチェックリストの整理を踏まえつつ、中小企業が実務で詰まる順に7項目へ組み替えて説明します。なお当社は法律事務所ではないため、条項の書き方や適法性についての個別の判断は、弁護士等の専門家にご確認ください。
まず自分の契約がどの型か確かめる
AI関連の契約は、ひとくちに「AI導入の外注」と言っても3つの型に分かれ、注意すべき条項が変わります。経済産業省のチェックリストは、汎用的AIサービス利用型・カスタマイズ型・新規開発型の3類型を想定しています(出典:AIの利用・開発に関する契約チェックリスト(令和7年2月)|経済産業省)。
| 型 | よくある依頼の例 | 特に見るところ |
|---|---|---|
| 汎用サービス利用型 | 生成AIのツールを契約して業務で使う。導入研修だけ頼む | 利用規約側の入力データの扱い。学習利用のオン/オフ |
| カスタマイズ型 | 既存の生成AIに自社データを組み合わせた社内チャットや問い合わせ対応を作ってもらう | 自社データの利用範囲、成果物の線引き、再委託先の規約 |
| 新規開発型 | 自社の業務に合わせた判定・予測の仕組みを一から開発してもらう | 完成義務の有無、検収基準、権利帰属 |
中小企業の案件で多いのは真ん中のカスタマイズ型です。ここで見落とされるのが、依頼先がさらに別の生成AIサービスを内部で使っているという構造です。チェックリストでも、カスタマイズサービスを提供する事業者は、発注側との関係ではベンダである一方、汎用的AIサービスの提供元との関係ではユーザーになると整理されています(出典:AIの利用・開発に関する契約チェックリスト(令和7年2月)|経済産業省)。つまり、依頼先が守れる条件は、その先の利用規約の範囲を超えられません。「社内データは学習に使われませんか」と聞くときは、依頼先の姿勢ではなく、その先で何を使っているかまで確認してください。
契約前に確認すべき7項目
渡すデータの範囲と、学習に使われるかどうか
最初に決めるのは「何を渡すか」です。チェックリストは、契約上の保護対象となる情報の定義に合致しない情報は、適用法令による制限がない限りベンダが自由に利用できる可能性があると注意しています(出典:AIの利用・開発に関する契約チェックリスト(令和7年2月)|経済産業省)。定義に入らない情報を渡すと、守られません。
確認する順番は、①契約で保護される情報の定義に、渡す予定のデータが入っているか、②そのデータが学習や自社技術の開発に使われる余地があるか、③契約終了時に消去されるか、④消去したことの証明が出るか、の4つです。不要な情報は最初から渡さないのが、いちばん効く対策です。
渡すデータの一覧を作り、「渡さないもの」も明示する成果物の定義——プロンプトや処理の流れは含まれるか
AI案件でもっとも揉めるのがここです。「AIで問い合わせ対応を自動化する」という依頼で、納品物が動いている仕組みだけだと、その中身であるプロンプトや判定ルールは渡されないことがあります。チェックリストでも、開発型の契約では開発対象が不明確になる場面が少なくないと注意されています(出典:AIの利用・開発に関する契約チェックリスト(令和7年2月)|経済産業省)。
納品物の一覧に、次のどれを含めるかを1つずつ書いてください。プロンプト(指示文)、処理の流れの図、判定ルールや閾値、評価用のデータとその正解、運用手順書、設定値の一覧です。「動くこと」ではなく「引き継げること」を納品物の基準にすると、抜けが見つかります。
「仕組み一式」という表現のまま契約しない権利の帰属——どこまでが自社のものになるか
開発で新しく生まれた成果と、依頼先がもともと持っている汎用的な技術は、分けて考える必要があります。チェックリストでは、開発により創出された成果に関する知的財産をフォアグラウンドIP、開発と関係なく各当事者が持つ知的財産をバックグラウンドIPと位置づけ、前者の権利帰属や利用条件が契約上議論されることが少なくないと整理されています(出典:AIの利用・開発に関する契約チェックリスト(令和7年2月)|経済産業省)。
現実的な落としどころは、「自社の業務に固有の部分は自社に、汎用的な部品は依頼先に残す」という切り分けです。そのうえで、自社に帰属しない部分についても、契約終了後に使い続けられるライセンスがあるかを確認します。ここが抜けると、終了と同時に業務が止まります。
帰属より先に「終了後も使えるか」を確認する検収基準——何が満たされたら払うのか
AIの出力は揺れるため、「正しく動くこと」では検収できません。判定できる形に落とすには、評価に使うデータ、判定の方法、合格とする水準、判定する人を、契約前に4点セットで決めます。次の章で具体的な書き方を示します。
あわせて、検収後に精度が落ちた場合の扱いも決めてください。入力されるデータの傾向が変われば、同じ仕組みでも結果は変わります。「検収時点の水準」と「運用中に維持する水準」を分けて書いておくと、保守契約の範囲が明確になります。
契約の性質——完成させる義務があるのか
業務委託契約には、仕事の完成を目的とする請負型と、事務の遂行を目的とする準委任型があります。チェックリストは、準委任と理解される場合はベンダが善管注意義務を負うにとどまる一方、請負と理解される場合は仕事の完成義務および契約不適合責任を負う点が一般的に重要な相違点だとしています(出典:AIの利用・開発に関する契約チェックリスト(令和7年2月)|経済産業省)。契約不適合責任は2020年4月施行の改正民法で、従来の瑕疵担保責任が改められたものです(出典:民法の一部を改正する法律(債権法改正)について|法務省)。
重要なのは名前ではなく、成果の内容と水準をどこまで求めるかです。チェックリストでも、どちらに分類されるかを抽象的に議論することの妥当性は検討が必要で、むしろユーザーがベンダに対して成果の内容や水準をどの程度求めるかが重要な論点になる場合が少なくないと整理されています(出典:AIの利用・開発に関する契約チェックリスト(令和7年2月)|経済産業省)。「準委任だから成果は保証されない」で終わらせず、水準を書き込んでください。
アカウントとAPIキーの名義、ランニング費用の負担
これは契約書の雛形にはあまり出てこないのに、実務でいちばん困る項目です。AIのサービスを依頼先の名義のアカウントで動かしていると、契約終了時にそのまま使えなくなります。広告アカウントを代理店名義で作ってしまったときと同じ構図です。
確認するのは、①利用するサービスのアカウントは誰の名義か、②APIの利用料は誰に請求されるか、③月ごとの利用量の上限と超過時の扱い、④名義を自社に移す場合の手順、の4点です。可能な限り、課金するアカウントは自社名義で開設し、依頼先には権限を付与する形にしてください。
アカウントは自社名義で作り、依頼先に権限を渡す解約と引き継ぎ——止まらないようにしておく
AIで自動化した業務は、止まったときに手作業へ戻せないことがあります。担当者が手順を知らないまま数か月動いていた業務は、元の運用を誰も覚えていません。解約の申し入れから実際の停止までの期間、引き継ぎに含まれる資料、移行の支援範囲を、契約時に決めておいてください。
あわせて、依頼先が使っているサービス側の規約が変わるリスクにも触れておきます。チェックリストにも規約改定に関する留意点の項目があります(出典:AIの利用・開発に関する契約チェックリスト(令和7年2月)|経済産業省)。利用しているAIサービスの仕様や規約が変わった場合、誰が対応するのかを決めておくと、想定外の追加費用を避けられます。
「精度」を検収基準に落とす書き方
「精度90%以上」と書いても、何をどう数えるかが決まっていなければ判定できません。次の4点を決めれば、検収できる形になります。
| 決めること | 書き方の例 | 決めないと起きること |
|---|---|---|
| 評価に使うデータ | 直近3か月の実データから無作為に抽出した100件(開発中に見せていないもの) | 都合のよい例で判定され、本番で精度が出ない |
| 正解の作り方 | 自社の担当者2名が独立に判定し、一致した結果を正解とする | 「これは正解の付け方が違う」という議論になる |
| 合格の水準 | 100件のうち正解と一致85件以上。かつ、重大な誤りは0件 | 全体の数字は良いのに、致命的な誤りが混ざる |
| 判定する人と期限 | 自社の業務担当が5営業日以内に判定し、結果を書面で通知 | 検収が終わらず、支払いも改善も止まる |
「重大な誤りは0件」を分けて書く
業務によっては、全体の一致率よりも「絶対に間違ってはいけない種類の誤り」のほうが重要です。請求金額を間違える、社外に出してはいけない情報を含める、逆の意味に要約する——こうした誤りは、率ではなく件数で切ってください。全体85%で合格としつつ、重大な誤りは0件を条件にすると、実務で使える基準になります。
検収基準を作るときは、「人がやった場合の精度」も測っておいてください。人の判定も一致しない業務に対して、AIに95%を求めても意味がありません。現状の水準を測っておくと、合格ラインの議論が具体的になり、依頼先との交渉も早く終わります。
生成物の権利と表示についても確認する
文章や画像を生成する用途では、出力したものを商用利用できるか、AIで生成したことの表示が必要かも確認項目になります。チェックリストでも、商用利用の禁止や、AIを用いて生成されたことを表示するといった条件設定がされることがあると触れられています(出典:AIの利用・開発に関する契約チェックリスト(令和7年2月)|経済産業省)。生成物が第三者の権利を侵害しないかの判断は、利用する側の確認が前提になります。AIと著作権の関係については文化庁が考え方を公表しているので、社内のチェック体制を作る際の出発点として参照してください(出典:AIと著作権|文化庁)。
個人情報を渡す場合に増える手続き
顧客名簿、応募者情報、問い合わせの履歴など、個人データを含むものを渡す場合は、契約の確認項目が増えます。ここは「渡してから気づく」と取り返しがつかない領域です。
チェックリストの整理では、個人データを含むインプットの提供が第三者提供に当たる場合、原則としてあらかじめ本人の同意を得て、記録を作成する義務が生じるとされています。一方で、利用目的の達成に必要な範囲内で取扱いを委託することに伴う提供であれば、あらかじめ本人の同意を得る必要はないとされています(出典:AIの利用・開発に関する契約チェックリスト(令和7年2月)|経済産業省)。
ただし委託として整理するには条件があります。チェックリストでは、委託先が委託された業務以外に個人データを取り扱えないこと、たとえば委託の内容と関係のない自社の活動のために取り扱う場合や、委託先が独自に取得したデータと本人ごとに突合する場合は該当しないと注意されています。また委託元には委託先の監督義務が課され、適切な委託先の選定、委託契約の締結、取扱状況の把握が必要とされています(出典:AIの利用・開発に関する契約チェックリスト(令和7年2月)|経済産業省)。
| 状況 | 確認すること |
|---|---|
| 依頼先が自社の学習・技術開発にも使う契約になっている | 委託として整理できない可能性がある。個人データを渡さない設計に変える |
| 依頼先が海外の事業者、または海外事業者を内部で使っている | 越境移転の手続きが必要になり得る。依頼先の所在と再委託先を確認する |
| 生成AIのツールにそのまま貼って使う運用 | 入力内容が応答生成以外の目的で扱われないか、利用規約と設定を確認する |
| 個人情報を渡す必要が本当にあるか未検討 | 氏名・連絡先を伏せたデータで足りないか、先に検討する |
実務的にもっとも確実なのは、個人を特定できる項目を外したデータで済む設計にすることです。要約や分類の用途であれば、氏名や連絡先を伏せても目的を達成できる場合が少なくありません。個別のケースが法令上どう整理されるかは、弁護士等の専門家にご確認ください。
提案段階で気づける危ない兆候5つ
契約書を読む前に、提案と見積もりの段階で判断できることがあります。次の5つが出てきたら、条件を詰め直してください。
| 兆候 | 何が起きるか | その場で聞くこと |
|---|---|---|
| 納品物が「仕組み一式」と書かれている | プロンプトや判定ルールが渡されず、引き継げない | 納品物を6項目に分けて記載してもらえますか |
| 検収条件が「動作確認をもって完了」 | 精度が出なくても検収を断れない | 評価データと合格水準を先に決められますか |
| 「学習には使いません」が口頭のみ | その先のサービス側の規約は別、という状態になり得る | 内部で使っているサービス名と、その設定を教えてください |
| アカウントを依頼先が用意すると言われる | 終了時に動かなくなる。利用量も見えない | 自社名義で開設し、権限を渡す形にできますか |
| 保守の範囲が「不具合対応」だけ | 精度低下や仕様変更は対象外で、追加費用になる | 精度が落ちた場合と、AI側の仕様変更時の扱いは |
5つのうち、いちばん確認が漏れるのは3行目です。依頼先が誠実であっても、その先の汎用サービスの条件は依頼先が決められません。サービス名と設定まで開示してもらうと、確認の精度が上がります。
発注前チェックリスト
そのまま社内共有できる項目
【渡すデータ】
- 渡すデータの一覧と、渡さないデータを書き出した
- 契約上保護される情報の定義に、渡すデータが含まれることを確認した
- 学習・技術開発への利用の可否と範囲を確認した
- 契約終了時の消去と、消去の証明について確認した
- 個人情報を含む場合、委託として整理できるかを確認した
【受け取るもの】
- 納品物を6項目(プロンプト・処理の流れ・判定ルール・評価データ・運用手順書・設定値)で明記した
- 自社に帰属する範囲と、終了後も使えるライセンスの有無を確認した
- 検収の4点セット(評価データ・正解の作り方・合格水準・判定者と期限)を決めた
- 重大な誤りを件数で切る条件を入れた
- 生成物の商用利用と表示の条件を確認した
【運用と終了】
- アカウントとAPIキーの名義、利用料の負担を確認した
- 月ごとの利用量の上限と、超過時の扱いを決めた
- 保守の範囲に、精度低下と仕様変更が含まれるかを確認した
- 解約予告の期間と、引き継ぎに含まれる資料を確認した
- 契約の性質(請負/準委任)と、求める成果の水準を書面にした
15項目すべてを詰めなくてかまいません。優先度が高いのは、納品物の定義、検収の4点セット、アカウントの名義の3つです。この3つだけ決めておけば、最悪の事態——業務が止まって戻せない、精度が出ないのに支払う、終了と同時に動かなくなる——は避けられます。
LnXの見解
AIの外注で実際に揉めるのは、権利の条文よりも手前の話です。「何を納品物と呼ぶか」と「何が満たされたら支払うか」の2つが決まっていないまま進んだ案件が、ほぼすべて後で止まります。逆にこの2つが決まっていれば、契約書の文言が完璧でなくても運用は回ります。発注前に時間を使うべきはここです。
もう1つ強調したいのが、アカウントの名義です。広告運用で「アカウントが代理店名義だったために、契約終了時に配信データを引き継げなかった」という話は珍しくありません。AIでも同じことが起きます。課金するアカウントを自社名義で開設し、依頼先には権限を付与する形にしておくだけで、終了時のリスクはほとんど消えます。費用も手間もかからない対策なので、最初にやってしまってください。
そして、AI導入を「作って終わり」の案件として発注しないことをおすすめします。入力されるデータの傾向は変わり、使うAIサービスの仕様も変わります。検収時点の水準と、運用中に維持する水準を分けて決め、どちらの責任範囲かを書いておく。この設計ができている依頼先は、提案書の段階でその話を自分から持ち出します。LnXでは、業務のどこをAIに任せてどこを人が判断するかの切り分けから、運用に乗せたあとの手順の整備までをご一緒しています。他社の提案書や見積もりを並べた状態でのご相談も歓迎です。条項の適法性についての個別の判断は、弁護士等の専門家にご確認ください。
よくある質問
Q 依頼先が用意した契約書の雛形をそのまま使って大丈夫ですか?
雛形自体が不当とは限りませんが、納品物の定義、検収の条件、アカウントの名義、解約時の引き継ぎの4点は追記が必要になることが多いです。特に納品物が「仕組み一式」「開発物」といった表現のままだと、プロンプトや判定ルールが渡されない解釈が成り立ちます。条項の書き方については、弁護士等の専門家にご確認ください。
Q 「渡したデータは学習に使いません」と言われれば安心してよいですか?
依頼先が守る意思があっても、依頼先が内部で使っている汎用的なAIサービス側の条件は依頼先が決められません。カスタマイズ型の場合、依頼先はその汎用サービスのユーザーという立場にもなります。サービス名と、学習利用に関する設定の状態まで開示してもらうと確認できます。
Q プロンプトは成果物に含めるべきですか?
運用を自社で続ける前提なら、含める方向で交渉してください。プロンプトや判定ルールがないと、出力を調整することも、別の担当者に引き継ぐこともできません。ただし依頼先が汎用的に使っている部品まで要求すると交渉が止まるので、「自社の業務に固有の部分」に絞るのが現実的です。
Q 検収の合格水準は何%にすべきですか?
業務によって変わるため、先に「人がやった場合の精度」を測ってください。人の判定も8割程度しか一致しない業務に対して95%を要求しても、合意できず案件が進みません。全体の一致率と、絶対に避けたい誤りの件数を分けて決めるのが実務的です。
Q 請負契約と準委任契約のどちらを選ぶべきですか?
名前で選ぶより、求める成果の内容と水準を書き込むことが重要です。請負では仕事の完成義務と契約不適合責任が生じ、準委任では善管注意義務にとどまるという違いがありますが、準委任であっても水準に達しない場合の責任が問われ得ると整理されています。契約の分類より、検収基準を具体化するほうが実務では効きます。
Q 小規模な依頼(月数万円のツール設定など)でも同じ確認が必要ですか?
すべては不要です。金額が小さい案件では、渡すデータの範囲、アカウントの名義、手順書が残るかの3点に絞って確認してください。逆に、業務が止まると困る用途に使う場合は、金額の大小にかかわらず引き継ぎの条件は詰めておくべきです。