この記事でわかること

  • LPを分けたくなる場面と、分ける前に確認すべきこと
  • 分割すべきか判断する4つの基準
  • ターゲット・訴求・商材・媒体という4つの分割軸の優先順位
  • 分けたときに増える制作費以外のコスト
  • 共通パーツと可変パーツの切り分け方
  • 分割後の計測・評価と、畳む判断の決め方

LPを分けたくなるのはどんなときか

広告を回していると、あるタイミングで必ず「LPをもう1枚作ったほうがいいのでは」という話が出ます。きっかけはだいたい次のどれかです。

  • 新しいターゲット層に配信を広げたが、既存LPだと刺さっていない気がする
  • Meta広告とGoogle検索広告で、同じLPに送っているがCVRが大きく違う
  • 商材が複数あり、1枚のLPにすべて詰め込んで説明が長くなっている
  • クリエイティブで複数の訴求を試したところ、どれも同じLPに着地している
  • キャンペーンや期間限定の案内を、常設LPに入れるか迷っている

いずれも自然な発想ですが、LPを分けた瞬間に、制作費だけでなく「その後ずっと発生する運用工数」が増えます。2枚が4枚になると、改善のサイクルは単純に半分の速度になります。分けるかどうかは、感覚ではなく基準で決めるべき判断です。

順番を間違えないでください。1枚目のLPがまだ改善しきれていない段階で2枚目を作ると、どちらも中途半端になります。まずは1枚を磨き、そのうえで「どう直しても両立できない要素」が見つかったときに分けるのが正しい順番です。1枚目の改善で見るべき点はLPのCVRを改善する方法|広告成果を上げるチェックポイント完全版にまとめています。

分けるべきか判断する4つの基準

1

ファーストビューで言うべきことが両立しないか

最も明快な基準です。ターゲットAに刺さる一言と、ターゲットBに刺さる一言が、同じ1行に収まらないなら、分ける価値があります。逆に、少し語を足せば両方カバーできる程度なら、1枚のままで足ります。

  • 読者の課題そのものが違う(例:採用に困っている/売上に困っている)
  • 意思決定者が違う(例:経営者/現場担当者)
  • 比較検討している対象が違う(例:他社サービス/内製化)
2

十分な配信量を分けられるか

LPを分けるということは、流入も分けるということです。もともと月数十クリックしかない状態で2枚に割ると、どちらも評価できない数字になります。目安として、分けたあとのそれぞれのLPで、月単位で改善判断ができるだけのCV数が見込めるかを先に試算してください。

見込めない場合は、LPを分けるのではなく、1枚のLPの中で見出しや事例の見せ方を変えるほうが現実的です。少ないアクセスでの検証の考え方はアクセスが少ないLPでA/Bテストは意味がある?中小企業向けの判断基準と進め方で扱っています。

3

オファー(申込先の中身)が違うか

同じ「無料相談」でも、相談内容や当日の進め方が違うなら、実質的に別のサービスです。オファーが違えば、そこに至るまでの説明も、フォームの項目も変わります。この場合は分けたほうが、リードの質も安定します。

逆に、オファーが完全に同じで訴求の言い回しだけが違う場合は、LPを分けるまでもなく、広告クリエイティブ側で吸収できることが多くあります。オファー自体の設計はLPのオファー設計はどう決める?無料相談・資料請求・診断の使い分けとリードの質をご覧ください。

4

更新し続けられる体制があるか

見落とされやすい基準です。料金改定や実績の追加が発生したとき、何枚のLPを直すことになるかを先に考えてください。4枚あれば4枚とも直す必要があり、1枚だけ古い情報が残っていると信頼を損ないます。

  • 更新の担当者と、更新の手順が決まっているか
  • 共通部分を一括で直せる作り方になっているか
  • 使わなくなったLPを畳む判断を、誰がいつするか

4つのうち①と③に該当し、かつ②を満たすなら分ける。②を満たさないなら分けない。この形で判断すると、迷いが減ります。④は分けると決めたあとに必ず整えるべき前提条件です。

分ける軸の選び方

「分ける」と決めたあと、何を軸に分けるかで結果が変わります。実務でよく使われる軸は4つです。

分ける例向いている場面注意点
ターゲット属性経営者向け/現場担当者向け、法人向け/個人向け意思決定者や課題が明確に違う広告側でその層に配信を絞れることが前提
訴求軸価格の安さ/実績の豊富さ/スピード何が決め手かが読者によって割れるクリエイティブの検証で先に当たりをつける
商材・サービスサービスAのLP/サービスBのLP提供内容そのものが違う最も優先度が高い。1枚に混ぜると説明が破綻する
媒体・流入経路検索広告用/SNS広告用読者の検討度合いが大きく違う媒体を分ける前に、まず訴求で分けられないか検討する

最初に手をつけるべきは「商材・サービス」の軸です。提供している内容が違うものを1枚に押し込むと、読者はどれが自分向けか判断できません。次に効くのが「ターゲット属性」、そのあとに「訴求軸」「媒体」の順で検討するのが、投下工数に対して成果の出やすい順番です。

訴求軸で分ける前にやること

訴求で分けるかどうかは、LPを作る前に広告クリエイティブで検証できます。複数の訴求で広告を配信し、クリック率とCVRの差を見てから、明確に分かれた訴求だけをLP化してください。順番を逆にすると、当たりの分からない訴求のLPを何枚も作ることになります。クリエイティブ側での検証設計はMeta広告のクリエイティブは何本必要?訴求の作り方と検証サイクルの設計で扱っています。

分けたときに増えるコスト

LPを分ける判断では、制作費だけを見て決めがちです。実際には、その後に継続して発生する負荷のほうが重くなります。

種類1枚のとき複数枚にしたとき
制作1回枚数分。共通パーツを流用できれば2枚目以降は軽くなる
改善サイクル1枚に検証を集中できる流入が分散し、1枚あたりの判断に時間がかかる
情報更新1か所枚数分。更新漏れのリスクが増える
計測設定1本分LPごとにCV計測とタグの確認が必要
広告アカウント構成がシンプルLPに合わせた広告グループ・キャンペーンの分割が必要

計測の抜けが一番起きやすい箇所です。2枚目のLPを公開したあと、CVタグの設置漏れや、コンバージョン設定の重複で数字が合わなくなるケースをよく見ます。公開前に、LPごとにテスト送信してCVが計上されるかを必ず確認してください。

差分だけ作る:共通パーツと可変パーツの設計

複数枚を維持しやすくする鍵は、「どこを共通にして、どこを変えるか」を先に決めておくことです。全ページをゼロから作ると更新が破綻します。

共通にしておくもの

  • 会社概要・所在地・プライバシーポリシーなどの固定情報
  • 料金表(改定時に1か所直せば済む形にする)
  • フォームの基本項目と送信後の処理
  • ヘッダー・フッター・計測タグ

LPごとに変えるもの

  • ファーストビューの見出しとサブコピー
  • 課題提示のパート(誰の、どの困りごとから入るか)
  • 掲載する事例・実績(そのターゲットに近いものを前に出す)
  • よくある質問(対象読者が引っかかる論点に差し替える)
  • CTAの文言(オファーが違う場合はフォーム項目も)

変えるのは上から3〜4ブロックまで、が現実的な落としどころです。ページ全体を作り分けると更新が回りませんが、ファーストビューと課題提示と事例だけ差し替えれば、読者が受ける印象は十分に変わります。ファーストビューの作り方はLPのファーストビューで離脱される原因と改善手順|スマホ基準で直す6要素を参照してください。

URLとインデックスの扱い

内容がほぼ同じページが複数並ぶ場合、検索経由の流入を狙うページを1つに定め、それ以外は広告専用として扱う整理が必要です。広告専用LPは検索での集客を目的にしないため、どのページを検索の受け皿にするかを先に決めておいてください。広告のリンク先を既存サイトにするかLPにするかの判断は広告のリンク先はLPとホームページどちらにすべきか?判断基準と使い分けの実務で扱っています。

分けたあとの計測と評価

複数LPを運用し始めたら、比較の土俵を揃えることが最優先です。土俵が違うまま数字を並べると、誤った判断につながります。

見る指標揃えるべき条件判断に使う場面
LP別CVR同じ期間・同じ媒体・同じ配信対象で比べるどのLPを主軸にするか
LP別CPA入札戦略と予算配分の違いを考慮する予算をどちらに寄せるか
リードの質商談化率・受注率まで追うCVRが低くても残すべきLPの判定
フォーム到達率スクロール計測またはイベントで揃える本文が読まれているかの確認

CVRだけで優劣を決めないでください。CVRが低くても、商談化率と受注率が高いLPは残す価値があります。逆に、CVRが高いのに商談に至らないLPは、オファーが軽すぎる可能性があります。広告の数字とその後の商談データを突き合わせて初めて、どちらを主軸にするかが決められます。

畳む判断も先に決めておく

増やしたLPを畳む基準がないと、使われないページが残り続けます。公開時に「3か月後にこの数字を下回っていたら停止する」と決めておいてください。停止時は、広告のリンク先を主軸LPへ戻し、計測設定も併せて整理します。

よくある失敗5つ

1

1枚目を改善しきる前に増やしている

最も多いパターンです。1枚目のCVRが低い原因が訴求ではなくフォームや表示速度にある場合、2枚目を作っても同じ結果になります。分ける前に、いまのLPの離脱がどこで起きているかを必ず確認してください。

2

広告側の配信が分かれていない

ターゲット別にLPを分けたのに、広告の配信対象は同じままというケースです。LPを分けたら、広告グループやキャンペーンも対応させて分ける必要があります。そうしないと、誰にどのLPが当たっているのか分からなくなります。

3

枚数を増やしすぎて改善が止まる

5枚、6枚と増えると、1枚あたりに割ける改善工数がなくなります。運用できる枚数の上限を、体制から逆算して先に決めてください。担当が1名なら、2〜3枚が実務上の上限になることが多いです。

4

更新が片方にしか反映されていない

料金改定や実績追加が1枚にしか入っていない状態です。古い情報が残っているLPは、そのまま信頼を損ねます。更新チェックリストを作り、更新のたびに全枚数を確認する運用にしてください。

5

分けた効果を検証していない

分けたこと自体が目的化し、その後の数字を比べていないケースです。分ける前の単一LPの数値を控えておき、分割後の合計と比較してください。合計で改善していなければ、分割は成果につながっていません。

LP分割の判断チェックリスト

分ける前・分けたあとのチェックリスト

【分ける前】

  • いまのLPの離脱箇所を特定している
  • ファーストビューで言うべきことが両立しないと確認できている
  • 分けたあと、それぞれで判断できるCV数が見込める
  • 訴求で分ける場合、広告クリエイティブで先に検証している

【設計】

  • 共通パーツと可変パーツの切り分けが決まっている
  • 変更するのは上部3〜4ブロックに収まっている
  • 検索の受け皿にするページを1つに定めている
  • フォーム項目とオファーの違いが整理されている

【公開前】

  • LPごとにCV計測のテスト送信を行った
  • 広告グループ・キャンペーンの分割が対応している
  • 分割前の数値(CVR・CPA・CV数)を控えている

【運用】

  • 更新担当と更新手順が決まっている
  • 商談化率まで含めてLP別に評価している
  • 畳む基準と判断時期を決めている

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LnXの見解

「LPを増やしたい」というご相談をいただいたとき、私たちがまず確認するのはいまのLPのどこで落ちているかです。訴求が合っていないのか、フォームで止まっているのか、そもそも配信対象がずれているのか。ここを見ずに枚数を増やすと、成果が変わらないまま管理する対象だけが増えます。

そのうえで、分けるべきケースははっきりあります。提供しているサービス自体が違う場合、意思決定者が違う場合の2つです。この2つは、どれだけ文章を工夫しても1枚では両立しません。逆に、訴求の言い回しが違うだけなら、多くは広告のクリエイティブ側で吸収できます。

もうひとつ強調しておきたいのは、LPと広告配信はセットで設計しないと意味がないという点です。LPだけ分けても、広告側が同じ相手に同じ配信をしていれば、狙った読者に狙ったページが当たりません。私たちは広告アカウントの構成とLPの構成を同じ図の上で設計し、どの配信からどのページへ着地するかを揃えたうえで改善を回しています。LPの出し分けを含めて広告まわりを一括で任せたいという場合は、現状のアカウントとLPを拝見したうえでご提案します。

よくある質問

Q LPは何枚まで運用してよいのでしょうか?

枚数の上限は、改善に割ける工数から逆算して決めるのが実務的です。担当者が1名で他の業務と兼務している場合、2〜3枚あたりが現実的な上限になることが多くあります。枚数が増えるほど1枚あたりの改善サイクルは遅くなるため、増やす前に「誰が、どの頻度で見るのか」を決めてください。

Q 内容が似たLPを複数公開すると、SEO上の問題になりませんか?

検索経由の集客を狙うページを1つに定め、それ以外は広告専用として扱う整理をしておけば、運用上の混乱は避けられます。広告専用LPは検索での流入を目的としないため、どのページを検索の受け皿にするかを先に決めることが重要です。判断に迷う場合は、サイト構造も含めて確認したうえで方針を決めることをおすすめします。

Q ターゲット別に分けたのに、CVRがほとんど変わりません。

まず広告側の配信が分かれているかを確認してください。LPだけ分けても、同じ配信対象に同じ広告を出していれば、狙った読者に狙ったページが当たりません。次に、変えたのが見出しの言い回しだけになっていないかを見ます。課題提示と掲載事例まで差し替えないと、読者が受ける印象はあまり変わりません。

Q キャンペーンや期間限定の案内は、別LPにすべきですか?

期間が限られており、常設LPに入れると内容が古びる場合は分ける価値があります。ただし終了後に放置されるページが残りやすいため、公開時点で停止日と、停止後のリンク先を決めておいてください。短期の告知であれば、常設LPの上部にセクションを追加し、終了時に削除する運用のほうが管理は楽です。

Q LPを分けると、広告の学習にも影響しますか?

配信を分けると、それぞれのキャンペーンや広告グループに蓄積されるデータ量が減ります。自動入札を使っている場合、成果が安定するまでの期間が延びることがあります。予算が限られている場合は、LPを分けることによる配信分散のデメリットが上回ることもあるため、分ける前にCV数の見込みを試算してください。

Q 分割の効果は、どう判断すればよいですか?

分割前の単一LPでのCV数・CVR・CPAを控えておき、分割後は各LPの合計と比較してください。個別のLPのCVRが上がっていても、合計のCV数が増えていなければ、流入を分け合っただけということになります。あわせて商談化率まで追い、リードの質が変わっていないかも確認してください。

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