この記事でわかること
- 成果の出ないアカウントで除外が手つかずになりがちな理由
- Google広告で使える除外設定5種類の全体像
- 限られた時間の中で、どこから手を付けるかの優先順位
- アカウント単位・キャンペーン単位の除外リストの使い分け
- 除外しすぎて配信が止まる境界線の見極め方
- 月次で回すための点検手順
除外が後回しになる理由
成果の出ていないGoogle広告アカウントを拝見すると、キーワードは何十語も登録されているのに、除外キーワードは数件という状態が非常に多くあります。これは担当者の怠慢というより、作業の性質による構造的な問題です。
キーワードを追加する作業には「配信を広げている」という手応えがありますが、除外を追加する作業は「何も起きなくする」ための作業です。成果として目に見えにくく、優先度が下がります。しかし実際には、限られた予算の中では出したくない検索を止めるほうが、費用対効果への寄与は大きくなります。
自動化が進むほど除外が効く:入札も配信面の選択もAIに委ねる範囲が広がっている現在、人が明確に握れる操作は限られています。「ここには出さない」という指定は、その数少ない確実な制御手段です。自動入札やP-MAXを使うアカウントほど、除外の整備が運用の中心になります。
除外設定5種類の全体像
「除外」と一口に言っても、止められる対象は複数あります。全体像を押さえておくと、費用が漏れている箇所を特定しやすくなります。
| 種類 | 止められるもの | 効きやすい場面 |
|---|---|---|
| 除外キーワード | 特定の検索語句への配信 | 検索広告全般。最優先で整備する |
| 地域の除外 | 商圏外への配信 | 店舗型・エリア限定のサービス |
| オーディエンスの除外 | 既存顧客・既にCVした人などへの配信 | 新規獲得が目的のとき |
| プレースメントの除外 | 特定のサイト・アプリ・動画への掲載 | ディスプレイ・動画配信面 |
| デバイス・時間帯の調整 | 成果の悪い環境への配信比重 | データが溜まってからの微調整 |
このうち、中小企業のアカウントで最も費用インパクトが大きいのは、除外キーワードと地域の除外です。オーディエンス除外とプレースメント除外は、配信面や目的によって効果の大きさが変わります。
どこから手を付けるか
すべてを一度に整えようとすると続きません。次の順序で進めてください。
明らかに無関係な語を配信前に入れる
配信を始める前に、自社にとって確実に不要な語を除外しておきます。「無料」「求人」「採用」「中古」「やり方」「自分で」「とは」など、購入意図のない検索を止める語が代表例です。業種によっては同名の別業種の語も必要になります。
汎用リストの丸ごと流用は避ける。業種によっては必要な語まで止まる地域ターゲティングの設定を確認する
商圏が決まっている業種では、ここが最も大きな漏れになります。対象地域の指定だけでなく、「その地域にいるユーザー」だけを対象にするのか、「その地域に関心を示しているユーザー」まで含めるのかの設定を確認してください。後者を含めると、商圏外からの流入が増えることがあります。
想定より遠方からの問い合わせが多いなら、まずここを疑う検索語句レポートを見て除外を足す
ここからが本番です。実際にどんな検索で広告が出たかを見て、無関係な語を追加していきます。配信開始直後は週2〜3回、安定してきたら月次が目安です。この作業を止めた瞬間から、費用の漏れが再び蓄積し始めます。
追加した除外語と追加日を記録に残す。後で切り分けができる既存顧客・既CVユーザーの除外を検討する
新規獲得が目的なら、すでに問い合わせ済み・購入済みのユーザーへの配信は費用の無駄になります。コンバージョン済みユーザーのリストを作り、新規獲得キャンペーンから除外する設計が有効です。リピート促進が目的なら、逆にそのリストを配信対象にします。
目的別にキャンペーンを分け、リストの使い方を反転させる配信面・デバイスの成果差を確認する
ディスプレイや動画に配信している場合、プレースメントレポートで掲載先を確認します。成果に結びつかないアプリ面やサイトに費用が寄っていることがあります。デバイスや時間帯の調整は、判断できる量のデータが溜まってから行ってください。
データが少ないうちの調整は、偶然の差を拾うだけになる除外リストの階層設計
除外キーワードは、キャンペーンごとに個別登録するほかに、リストとして作ってアカウント内の複数キャンペーンに適用する使い方ができます。運用が長くなるほど、この階層設計の有無が効いてきます。
| 階層 | 入れるもの | 例 |
|---|---|---|
| 全社共通リスト | どのキャンペーンでも不要な語 | 求人・採用・無料・中古・エロ等の不適切語 |
| 事業・商材別リスト | その商材では不要だが他では必要な語 | 「個人向け」(法人向け商材の場合) |
| キャンペーン個別 | そのキャンペーン固有の除外 | 他キャンペーンと食い合う語 |
| 広告グループ個別 | グループ間の重複を整理する語 | 「費用」グループから「代行」を除外 |
共通リストを作る効果:キャンペーンが増えたときに、新しいキャンペーンへリストを適用するだけで基本的な除外が済みます。キャンペーンごとに手作業でコピーしていると、必ず入れ忘れが発生します。P-MAXを追加する場合も、このリストの内容を反映しておくと漏れを防げます。
除外キーワードにもマッチタイプがある
見落とされやすい点ですが、除外キーワードにも完全一致・フレーズ一致・部分一致の指定があります。広く指定すると想定以上の検索を止めてしまうため、まずはフレーズ一致か完全一致で入れ、影響を見てから広げるのが安全です。「コンバージョンが減った」という事故の多くは、除外を広く入れすぎたことが原因です。
除外しすぎの境界線
除外は多ければよいわけではありません。行きすぎると配信量が落ち、学習に必要なデータも集まらなくなります。
- インプレッションが急に落ちた——直近に追加した除外の影響を疑う
- コンバージョンが減った——CVしていた検索語句を巻き込んでいないか照合する
- 「除外する語がもう出てこない」状態が続く——配信範囲が狭すぎる可能性がある
判断のための記録:除外を追加した日付を残していないと、数字が変わったときに原因を切り分けられません。スプレッドシート1枚で構わないので、「いつ・何を・なぜ除外したか」を残してください。この記録があるだけで、戻すべきかどうかの判断が数分で済みます。
月次の点検手順
除外は継続作業です。回すための手順を固定してください。
除外設定の点検チェックリスト
【毎週(立ち上げ期)】
- 検索語句レポートで無関係な語を確認した
- 費用が寄っている語を上位から確認した
- 追加した除外語と日付を記録した
- コンバージョンした検索語句を控えた
【毎月】
- 地域別の成果を確認し、商圏外への配信がないか見た
- デバイス別・時間帯別の成果差を確認した
- ディスプレイ配信のプレースメントを確認した
- 除外リストを他キャンペーン・P-MAXにも反映した
【四半期】
- 除外リスト全体を見直し、不要になった語を整理した
- クリックが溜まってCVゼロの語を除外候補として検討した
- 既存顧客リストの除外設定が最新か確認した
- 除外しすぎで配信量が落ちていないか点検した
Web広告運用代行
「検索語句レポートを見る時間がない」「除外がどこまで必要か分からない」という状態のままでは、広告費は漏れ続けます。LnXの広告運用代行では、除外の設計から日々の点検・改善までを一気通貫でご支援します。現在のアカウントを拝見しての診断も可能です。
広告運用代行の詳細を見るLnXの見解
アカウントを引き継いだとき、私たちが最初に見るのはキーワードの一覧ではなく除外キーワードのリストと検索語句レポートです。ここが手つかずのアカウントは、多くの場合それだけで一定の改善余地があります。難しい調整をしなくても、無関係な検索を止めるだけでCPAが動くケースは珍しくありません。
ただし、除外はやりすぎると一気に逆効果になる数少ない操作でもあります。特に除外キーワードのマッチタイプを広く指定すると、想定していなかった語まで巻き込みます。「除外を整理したらコンバージョンが減った」というご相談は実際にあり、その多くは追加した除外の記録が残っておらず、原因の切り分けに時間がかかっています。いつ・何を・なぜ除外したかを残しておくだけで、この問題はほぼ防げます。
そして、除外設定は「一度整えて終わり」ではないという点も強調しておきたいところです。検索のされ方は季節や世の中の動きで変わります。半年前のリストは、今の配信には足りていません。とはいえ毎週レポートを見る時間を確保できる中小企業は多くありません。LnXでは広告・LP・計測を同じ担当が見るため、除外の点検を日々の運用に組み込み、費用の漏れを継続的に塞ぐ形でご支援しています。
よくある質問
Q 除外キーワードはいくつくらい登録すべきですか?
目標の件数はありません。検索語句レポートを見て、自社に無関係だと判断できた語を都度追加していく形が正しい進め方です。あらかじめ数百語のリストを入れることもできますが、業種によっては必要な検索まで止めてしまうため、汎用リストをそのまま流用するのはおすすめしません。配信開始から1〜2か月は毎週追加し、その後は月次で見直す程度に落ち着きます。
Q 地域の除外はどこまで細かく設定すべきですか?
商圏の外に配信されていないかを確認するのが目的なので、まずは対象外の都道府県が入っていないかを見てください。加えて、地域ターゲティングには「対象地域にいるユーザー」と「対象地域に関心を示しているユーザー」の扱いがあり、後者を含めると商圏外からのアクセスが増えることがあります。想定より遠方からの問い合わせが多い場合は、この設定を確認してください。
Q 除外を増やしたらコンバージョンまで減ってしまいました。
必要な検索まで止めている可能性が高い状態です。除外キーワードのマッチタイプが広すぎると、意図しない語まで巻き込みます。直近で追加した除外を一度確認し、コンバージョンにつながっていた検索語句が含まれていないか照合してください。除外は追加した日を記録しておくと、こうした切り分けが容易になります。
Q P-MAXにも除外は設定できますか?
できます。P-MAXにはキャンペーン単位で除外キーワードとブランドの除外が用意されています。配信面が広いぶん想定外の検索を拾いやすいため、検索キャンペーンで育てた除外リストをP-MAX側にも反映しておくと、費用の漏れを抑えられます。ただしチャネル単位での配信除外には対応していない点は注意してください。
Q 除外設定は一度やれば終わりですか?
終わりません。検索のされ方は季節や世の中の動きで変わるため、半年前の除外リストは今の配信には足りていません。配信量が少ない場合でも、月に一度は検索語句レポートを確認する時間を確保してください。逆に、除外を追加する必要がまったくない状態が続いているなら、そもそも配信範囲が狭すぎないかも点検の対象になります。