この記事でわかること
- AIにLPを書かせてもうまくいかない4つの原因
- AIに渡すべき3つの材料と、その集め方
- 改善対象の特定から検証までの5ステップ
- ブロック別のプロンプト設計の考え方
- AIに任せてはいけない4領域とチェックリスト
「AIにLPを作らせる」がうまくいかない理由
生成AIにLPの原稿を書かせてみたものの、出てきた文章がどこかで見たような一般論で、結局そのまま使えなかった——この経験をお持ちの方は多いはずです。原因はAIの性能ではなく、渡している情報と、任せている工程の切り分けにあります。
現場でよく見る失敗は、次の4つに整理できます。
- LP全文を一度に生成させている:一括生成は全体の整合は取れても、1ブロックずつの説得力が薄くなる。
- 材料を渡さずに書かせている:自社の実績・料金・お客様の言葉を渡していないため、業界の平均的な文章しか出てこない。
- 「良さそうな案」で止めている:生成物を読んで納得しただけで、実際の数字で検証していない。
- 改善の対象が決まっていない:LPのどこが問題かを特定せずに書き直すため、当たったのか外れたのかが分からない。
逆に言えば、この4点を潰す形で工程を組めば、生成AIはLP改善のスピードを確実に上げます。AIの価値は「良い文章を書くこと」ではなく、「案を出す時間を圧縮して、検証の回数を増やせること」にあります。
先に結論:AIに任せるのは①材料の整理、②案の複数出し、③表現の言い換えの3つです。何を直すかの決定と、事実の確認、最終判断は人が持つ。この線引きさえ守れば、失敗のほとんどは避けられます。
事前準備:AIに渡す3つの材料
生成AIの出力の質は、プロンプトの巧拙よりも渡した材料の量と具体性でほぼ決まります。着手前に次の3つを手元にまとめてください。作業時間は初回で1〜2時間程度です。
| 材料 | 具体的に用意するもの | これがないとどうなるか |
|---|---|---|
| ①顧客の生の言葉 | 問い合わせフォームの自由記述、商談の議事録、既存顧客への簡単なヒアリング、電話で聞かれる質問の頻出リスト | 訴求が抽象的になり、「高品質」「安心」といった誰でも書ける言葉に着地する |
| ②自社の事実 | 料金体系、対応範囲、納期、実績件数、担当者の経歴、他社と違う制約条件(できないこと含む) | AIが一般論で補完し、事実と異なる記述が混ざる |
| ③現状の数字 | LPのCVR、流入元と流入数、離脱の多い位置(ヒートマップ)、フォーム到達率 | どこを直すべきかが決まらず、直す必要のない箇所を書き換えてしまう |
とくに③は軽視されがちですが、改善の対象を絞るための材料です。ファーストビューが問題なのか、フォームが問題なのかで打ち手はまったく変わります。数字の取り方はヒートマップでLPを改善する方法を参考にしてください。
入力してよい情報の線引きを先に決める:顧客の氏名・連絡先や、契約上の秘密にあたる情報を生成AIに入力してよいかは、利用しているサービスの契約形態や社内規程によって変わります。着手前に「入れてよい情報/だめな情報」を明文化しておいてください。判断基準の作り方はAI利用ガイドラインの作り方にまとめています。
生成AIでLP改善を回す5ステップ
ここからが実務のワークフローです。1サイクルを2週間で回す想定にしています。
改善対象のブロックを1つに決める(人がやる)
最初の工程はAIを使いません。数字を見て、今回書き換えるブロックを1つだけ決めます。ファーストビュー、課題提示、サービス説明、実績、料金、FAQ、CTA——このうちどれかです。
判断の目安:LP到達直後の離脱が多ければファーストビュー、中盤まで読まれて離脱するなら実績や料金の情報不足、フォームまで到達して離脱するならフォーム側の問題です。ここを複数同時に変えると、次の検証で何が効いたか分からなくなります。
材料をAIに読ませて、現状の課題を言語化させる
準備した3つの材料と、現在のLPの該当ブロックの文言をAIに渡し、「このブロックが読み手にとって分かりにくい点・信じにくい点を挙げてください」と指示します。書き直しを頼むのはまだ早い段階です。
ここでAIに出させたいのは案ではなく論点です。「誰向けか分からない」「価格の目安がない」「実績の裏付けがない」といった指摘が出てくれば、次の生成の方向が定まります。人間だけで議論するより、抜け漏れが減るのがこの工程の効用です。
ブロック単位で案を5〜10本出させる
論点が定まったら、そのブロックだけを対象に案を複数出させます。1案ずつ丁寧に作らせるより、「訴求の軸を変えた案を5本」と幅を持たせるほうが有用です。
軸の例:価格の分かりやすさ/導入までの早さ/担当者の顔が見える安心/失敗を避けたい不安への対応/既存顧客の実際の言葉。同じ内容の言い換えではなく、切り口そのものを変えさせるのがポイントです。
事実確認と絞り込みをする(人がやる)
出てきた案を、次の3つの観点で必ず人が確認します。ここを飛ばすと、後で取り返しのつかない問題になります。
①事実に反していないか:実績件数、料金、対応範囲、納期などが実態と合っているか。AIは自然に数字を補完します。②表現が誇大になっていないか:「必ず」「絶対」「No.1」といった断定は、根拠がなければ景品表示法上の問題になり得ます。③自社の言葉になっているか:既存の会社紹介やサービス説明と口調・立場が食い違っていないか。
確認を通過した案から、実際に試す案を1〜2本に絞ります。
公開して数字で検証し、記録する
差し替えて公開し、あらかじめ決めた期間の数字を見ます。期間と判断基準は差し替え前に決めておくのが鉄則です(例:2週間、または広告からの流入が500セッション到達時点で判断)。
アクセスが少ないLPでは、A/Bテストではなく期間比較にせざるを得ないこともあります。その場合の判断の考え方はアクセスが少ないLPでA/Bテストは意味があるかを参考にしてください。結果は当たり外れにかかわらず「どの軸の訴求が、どう転んだか」を1行で記録します。この記録が次サイクルのAIへの材料になります。
このワークフローの本当の効果:各サイクルの作業時間が短くなることではなく、年間の検証回数が増えることです。従来は原稿作成に時間がかかって年4回しか回せなかった検証が、月1回に増えれば、当たりを引く確率がそのまま上がります。AI導入の効果は工数削減より、この回転数で測るほうが実態に合います。
ブロック別のプロンプト設計の考え方
プロンプトは長い呪文を覚える必要はありません。「役割・材料・制約・出力形式」の4要素が入っていれば十分です。
共通の骨組み
まず、どのブロックでも共通して伝える内容を固定します。①どんな会社の、どんなサービスのLPか、②想定読者は誰で、どんな状態で検索してきたか、③使ってよい事実(料金・実績・対応範囲)、④使ってはいけない表現(断定・最上級・根拠のない数値)。この4点をテンプレート化して、毎回冒頭に貼り付けます。
ファーストビューを直す場合
制約として文字数の上限を必ず入れてください。「メインコピーは30文字以内、サブコピーは60文字以内」といった形です。上限がないと、スマホで3行以上になる長文が出てきます。あわせて「誰の、どんな状態を、どうするサービスかが1文で分かること」を条件に加えます。改善の観点はLPのファーストビューで離脱される原因と改善手順で詳しく整理しています。
FAQ・不安解消ブロックを直す場合
ここは材料の力がそのまま効く場所です。実際に問い合わせや電話で聞かれた質問をそのまま渡し、「この質問に、誇張せず具体的に答える文章を」と指示します。AIに質問自体を考えさせると一般的な内容になりますが、実際の質問を渡せば、そのLPにしか書けない内容になります。
CTA周辺を直す場合
ボタン文言だけでなく、ボタンの直前の一文を対象にします。「押した後に何が起きるか」(例:担当者から1営業日以内にメール、その場で費用の目安を提示)を明示する文言を複数案出させると、心理的な負担が下がります。フォーム自体の改善はフォーム離脱を減らすEFO改善方法とあわせて進めてください。
AIに任せてはいけない4つの領域
効率化の議論では見落とされがちですが、次の4つは人が担保しない限りリスクが残ります。
| 領域 | 理由 | 人がやること |
|---|---|---|
| 数値・実績の記載 | AIは文脈に合う数字を自然に補完する。実績件数や導入社数の誤記は信頼を大きく損なう | 掲載する数値はすべて自社の一次情報と突き合わせる |
| 法規制がかかる表現 | 景品表示法・薬機法などの規制に触れる表現が混ざり得る。業種によっては広告審査にも通らない | 断定・最上級・効果保証の表現をチェックし、必要なら専門家に確認する |
| お客様の声・体験談 | AIが生成した「それらしい声」の掲載は、実在しない体験談の掲載にあたる | 実際にいただいた内容のみ、許諾を取って掲載する |
| 何を直すかの意思決定 | 数字の解釈と事業の優先順位はAIには判断できない | 改善対象の選定と、実施可否の最終判断を持つ |
AI活用LP改善チェックリスト
1サイクル回すたびに確認したい項目
【準備】
- 顧客の生の言葉(フォーム自由記述・商談記録)を集めた
- 料金・対応範囲・実績など自社の事実を一覧にした
- 現状のCVR・離脱位置を数字で把握している
- AIに入力してよい情報の範囲を社内で決めている
【生成】
- 今回書き換えるブロックを1つに絞った
- いきなり書かせず、先に課題を言語化させた
- 訴求の軸を変えた案を5本以上出させた
- 文字数などの制約をプロンプトに入れた
【検証・公開】
- 掲載する数値をすべて一次情報と突き合わせた
- 断定・最上級などの表現を確認した
- お客様の声はすべて実在のもので、許諾を得ている
- 検証期間と判断基準を差し替え前に決めた
- 結果を1行で記録し、次サイクルの材料にした
無料AI業務診断
LP改善に限らず、資料作成・問い合わせ対応・レポート作成など、AIで置き換えられる業務は会社ごとに違います。現状の業務内容をお伺いし、費用対効果の見込める領域と進め方を無料で整理してお渡しします。
無料AI業務診断を受けてみるLnXの見解
LP改善に生成AIを使いたい、というご相談をいただくとき、私たちが最初に確認するのは「今のLPの、どこが問題か言えますか」という一点です。ここが答えられる会社では、AIは非常に強力に働きます。逆に、ここが曖昧なまま導入すると、きれいな文章が量産されるだけで数字は動きません。AIは改善の速度を上げる道具であって、改善の方向を決める道具ではないからです。
実務的におすすめしているのは、いきなり本番LPを触るのではなく、まずFAQブロックと不安解消ブロックから始めることです。この2つは、①実際に聞かれた質問という材料がすでに手元にある、②事実確認が比較的容易、③追加しても既存の構成を壊さない、という3点で着手コストが低く、それでいて問い合わせの質に効きます。最初の成功体験をここで作ると、社内の抵抗感も下がります。
もう1つお伝えしているのは、AI活用は「作る工程」より「振り返る工程」で差が出るということです。案を出すのは誰がやってもある程度の水準になります。差がつくのは、試した結果を記録し、次に渡す材料として蓄積できているかどうかです。3サイクル分の記録が溜まった頃から、生成される案の精度が明確に変わります。逆に記録がないと、半年後も同じような案を出し続けることになります。AIを社内に定着させるコツは、ツール選びではなく、この記録の習慣づくりにあります。
よくある質問
Q LPの原稿をAIに全部作らせても大丈夫ですか?
たたき台としては有効ですが、そのまま公開するのはおすすめしません。一括生成では各ブロックの説得力が薄くなりやすく、また料金・実績・対応範囲といった事実が自動的に補完されてしまうことがあります。ブロックごとに材料を渡して生成し、事実確認と最終判断は人が行う進め方が現実的です。
Q どの生成AIサービスを使えばいいですか?
文章の生成品質だけで比べると、主要なサービス間の差はLP改善の用途では大きくありません。それよりも、社内で利用が許可されているか、入力したデータの取り扱い条件が自社の方針に合っているか、で選ぶほうが実務的です。判断が難しい場合は、まず社内での利用ルールを決めるところから着手してください。
Q AIが書いた文章は、SEOやGoogleの評価で不利になりませんか?
生成方法そのものが問題になるわけではなく、内容が読み手の役に立つかどうかが評価の軸とされています。ただし、材料を渡さずに生成した一般論だけの文章は、他社と似た内容になりやすく、結果として評価されにくくなります。自社の一次情報を入れることが実質的な対策になります。
Q お客様の声をAIに作らせて掲載してもよいですか?
いけません。実在しない体験談の掲載は、表示に関する法規制上の問題になり得るだけでなく、信頼を損ないます。AIに任せてよいのは、実際にいただいた声を読みやすく整える範囲までです。その場合も、意味が変わっていないか本人確認・許諾を取ることをおすすめします。
Q どのくらいの頻度でLPを改善すべきですか?
流入量によります。広告経由で一定のアクセスがあるLPなら月1回程度のサイクルが回せます。アクセスが少ない場合は、変更してから判断できるだけのデータが溜まるまで待つ必要があるため、2〜3か月に1回になることもあります。頻度そのものより、変更前に判断基準を決めておくことのほうが重要です。