この記事でわかること
- 記事LPと通常LPの役割の違いと比較表
- どちらを使うべきかを分ける4つの判断基準
- 記事LPの構成6ブロックと出口設計の2パターン
- 読了率・CTAクリックを含めた計測の組み方
- ステマ規制・薬機法など表示ルール上の留意点
- よくある失敗5つと、企画から運用までのチェックリスト
記事LPとは何か、通常LPと何が違うか
広告の成果が頭打ちになったとき、「記事LPを試しませんか」と提案を受けることがあります。読み物の体裁をとったページのことですが、通常のLPと役割が違うため、同じ物差しで比べると判断を誤ります。
記事LPは、コラムやインタビュー記事のような体裁で読ませ、読み進めた先に申し込み導線を置くページです。ストーリーLP、アドバトリアルとも呼ばれます。対して通常のLPは、ファーストビューから商品・サービスを直接訴求し、そのまま申し込みへ運ぶ構成をとります。
| 比較軸 | 通常LP | 記事LP |
|---|---|---|
| 主な読者 | 課題やニーズが明確な顕在層 | 課題が言語化されていない潜在層 |
| 流入元 | 検索連動型広告、指名検索、比較サイト | SNS広告、ディスプレイ広告、ネイティブ広告 |
| 冒頭で見せるもの | 提供価値とオファー | 読者の悩み・共感・話題性 |
| 読ませる分量 | 短く、要点で判断させる | 長く、納得を積み上げる |
| 成果の出方 | CVRが読みやすい | 読了率・遷移率を挟んで評価する |
| 制作コスト | 構成+デザイン中心 | 取材・執筆の比重が大きい |
記事LPは「通常LPの上位互換」ではありません。買う理由がすでにある読者に長い読み物を出すと、結論にたどり着く前に離脱します。ニーズが顕在化している流入に対しては、通常LPで即決訴求するほうが効率が良いという前提を外さないでください。
どちらを使うかの判断基準
実務では、次の観点で切り分けています。1つでも「記事LP側」に強く寄る要素があれば、テストする価値があります。
読者が自分の課題を言葉にできているか
「◯◯ 代行 費用」のように具体的な語で検索している読者は、すでに解決策を探している段階です。この層に説明を積み上げる必要はありません。一方、SNS広告で偶然見かけた読者は、そもそも自分の課題を認識していないため、そこを言語化する工程が要ります。
商材の説明に前提知識が必要か
新しいカテゴリの商品、仕組みが複雑なサービス、価格の妥当性を説明しないと高く見えるもの。「なぜこれが必要なのか」を先に伝えないと比較すらされない商材は、記事LPが向いています。
通常LPのファーストビューで離脱しているか
広告のクリックは取れているのに、LPの直帰が極端に高い場合、訴求と読者の温度が合っていない可能性があります。まずは通常LPのファーストビュー改善を試し、それでも動かないときに記事LPを検討するのが順番です。見直し方はLPのファーストビューで離脱される原因と改善手順|スマホ基準で直す6要素にまとめています。
検討期間が長い商材か
その場で決まらない商材では、記事LPの役割が「即申し込み」ではなくなります。資料請求や診断など、一段階手前のオファーと組み合わせるほうが機能します。オファーの決め方はLPのオファー設計はどう決める?無料相談・資料請求・診断の使い分けとリードの質で扱っています。
「なんとなく通常LPに飽きたから記事LP」という理由で作ると、まず回収できません。記事LPは取材と執筆の工数が乗るぶん、制作費も納期も通常LPより重くなります。潜在層への配信を継続する前提があるかどうかを先に確認してください。
記事LPの構成要素
読み物の形をとりますが、構成は感覚で作るものではありません。実務では次の順序を骨格にしています。
| ブロック | 役割 | 作るときの注意 |
|---|---|---|
| ① 導入(つかみ) | 読者の状況を言い当て、自分ごと化させる | 広告クリエイティブの文言と地続きにする |
| ② 課題の言語化 | 放置した場合に何が起きるかを示す | 不安を過度に煽る表現は避ける |
| ③ 原因の説明 | なぜその問題が起きるのかを解きほぐす | ここが一番読まれる。独自の視点を入れる |
| ④ 解決策の提示 | 選択肢を並べ、その中で自社商材を位置づける | 他の選択肢を不当に貶めない |
| ⑤ 裏づけ | 実績・利用者の声・データを示す | 体験談の扱いは業種ごとの規制を確認する |
| ⑥ 導線 | 通常LPまたはフォームへ渡す | 本文中に複数設置し、位置ごとに計測する |
記事LPの出口を、どこに置くか
出口の設計は2通りあります。記事LPの中にフォームまで置く1ページ完結型と、記事LPから通常LPへ渡す2段構えです。
- 1ページ完結型:離脱ポイントが1つ減る。ただし記事が長くなり、フォームまで到達しにくい
- 2段構え:既存の通常LPを流用できる。遷移で落ちるが、どこで落ちたかが分かりやすい
- 判断基準:通常LPがすでに機能しているなら2段構え、ゼロから作るなら1ページ完結型から試す
2段構えにする場合、記事LPと通常LPの訴求を必ず揃えてください。記事で語った文脈と、遷移先の見出しが噛み合っていないと、そこで一気に落ちます。広告・記事LP・通常LPの3つを一本の流れとして設計するのが前提です。この考え方は広告運用とLP改善はセットで考えるべき理由|成果を最大化する一体型運用で詳しく扱っています。
計測をどう設計するか
記事LPで最も多い失敗が、通常LPと同じ指標で評価して「効果がない」と結論づけてしまうことです。読ませてから動かすページなので、途中の指標を挟まないと改善点が見えません。
| 見る指標 | 落ちている場合に疑うところ |
|---|---|
| ファーストビュー到達後の滞在 | 広告クリエイティブと導入文の落差 |
| 読了率(スクロール到達率) | ③原因の説明が長すぎる、読みにくい |
| 本文中CTAのクリック率 | 設置位置、文言、読者の温度との不一致 |
| 遷移先LPのCVR | 記事LPと通常LPの訴求のズレ |
| 最終CPA | 上記のどこかの積み上げ。単独では原因が分からない |
スクロール到達率とCTAクリックは、位置ごとに分けて計測してください。「50%地点のCTAは押されるが90%地点は押されない」といった傾向が見えると、記事の長さを削る判断ができます。計測の入れ方はGA4のイベント設定で対応できます。ページ内の読まれ方を見る手段としてはヒートマップでLPを改善する方法|無料ツールで離脱ポイントを見つける実践手順も併用できます。
表示ルール上、押さえておくこと
記事LPは読み物の体裁をとるぶん、広告であることが読者に分かるかという点で注意が必要です。以下は一般的な留意点であり、個別の表現が問題になるかどうかは商材と文脈によって変わります。判断に迷う場合は、所管官庁の公表資料や専門家に確認してください。
広告であることを判別できる表示にする
2023年10月1日から、景品表示法上、事業者の表示であるにもかかわらず一般消費者がそれを判別することが困難な表示が不当表示として規制されています(いわゆるステマ規制)。規制の対象となるのは表示を行った事業者、つまり広告主側です。第三者の記事に見える体裁をとる場合ほど、「広告」「PR」などの表示を、読者が見つけられる位置に置いてください。
体験談・口コミの出し方に注意する
記事LPは体験談と相性が良い形式ですが、実在しない体験談や、事業者が用意した文章を第三者の声として掲載するのは避けてください。実際の利用者の声を使う場合も、依頼して投稿してもらった場合は、その関係性が分かる表示が必要になります。詳しくはLPの信頼性要素はどう作る?お客様の声・実績の集め方とステマ規制を踏まえた見せ方で扱っています。
効果・効能の表現は業種ごとの規制を確認する
医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器などは、医薬品医療機器等法(薬機法)により虚偽または誇大な広告が禁じられています。医療機関の広告には医療広告ガイドラインが適用されます。健康・美容・医療に関わる商材で記事LPを作る場合は、制作前に表現ルールを確認しておくほうが、作り直しのリスクを避けられます。
媒体側の審査基準も別に存在する
法令とは別に、広告媒体ごとの審査基準があります。記事LPは表現の幅が広いぶん、審査で止まることが通常LPより多いのが実情です。入稿直前ではなく、構成段階で審査基準に照らして確認してください。
よくある失敗5つ
広告クリエイティブと記事の入口が断絶している
広告で提示した話題と、記事の導入文が別物になっているパターンです。クリックした直後の数秒で「違う話だ」と判断されると、そこで終わります。広告文と導入文はセットで作ってください。
商品説明が早すぎる
3スクロール目で商品名が出てくると、読者は「結局広告か」と判断します。記事LPの価値は、課題と原因の説明を挟むことで生まれます。ここを削るなら通常LPで十分です。
1本だけ作って判断している
記事LPは切り口によって成果が大きく変わります。導入の切り口を2〜3案作り、同じ配信条件で比較するのが前提です。1本で結論を出すと、記事LPという手法自体を誤って否定することになります。判断の考え方はアクセスが少ないLPでA/Bテストは意味がある?中小企業向けの判断基準と進め方を参考にしてください。
CTAが記事の最後にしかない
長い記事の末尾に1つだけボタンを置く構成です。読者が納得する位置は人によって違うため、本文中に複数配置し、押された位置を計測してください。ボタン文言や配置の考え方はLPのCTA設計|ボタン文言・配置・追従バーで問い合わせを増やす実践手順にまとめています。
記事LPを作っただけで運用を止めている
制作費をかけて公開したあと、配信面やクリエイティブを触っていないケースです。記事LPは配信対象とセットで機能します。顕在層の配信面に出し続けても、成果は上がりません。
記事LPチェックリスト
企画・制作・運用チェックリスト
【企画】
- 配信対象が潜在層であることを確認している
- 通常LPのファーストビュー改善を先に試している
- 出口を1ページ完結型か2段構えかで決めている
- 導入の切り口を2案以上用意している
【構成】
- 広告クリエイティブと導入文がつながっている
- 課題・原因の説明を経てから商品が出てくる
- 他の選択肢にも触れたうえで自社を位置づけている
- 本文中にCTAを複数設置している
【表示ルール】
- 広告であることが判別できる表示を入れている
- 体験談の出所と関係性を確認している
- 業種固有の表現規制を制作前に確認している
- 媒体の審査基準に構成段階で照らしている
【計測】
- スクロール到達率をイベントで取得している
- CTAクリックを設置位置ごとに分けている
- 遷移先LPのCVRを別に見ている
- CPAだけで良し悪しを判断していない
LnXの見解
記事LPは、手法としては有効ですが「効かない広告を立て直す万能薬」ではありません。実際にご相談をいただくケースでは、記事LP以前に配信ターゲットや通常LPのファーストビューに原因があることのほうが多く、そちらを直したほうが早く数字が動くこともあります。制作費と納期が通常LPより重い手法なので、着手前に「本当に潜在層に届けたいのか」を確認しています。
効果を出しているケースに共通しているのは、広告クリエイティブ・記事LP・通常LP・フォームまでを一続きの流れとして設計している点です。記事LPだけを外注し、広告は別の会社が回している、という分担だと、この接続が担保されません。文脈がどこかで途切れ、読了率は高いのにCVが増えない状態になります。
もう一つ、記事LPは公開後の運用で差がつきます。導入の切り口を差し替え、CTAの位置を動かし、配信面を絞り込む。この改善サイクルを回せるかどうかが、制作費を回収できるかどうかを分けます。私たちは広告の配信設計から記事LPを含むクリエイティブ、その後の改善までを一体で扱っています。いまの広告で記事LPを試すべきかどうかから判断したいという場合も、現状の数値を見たうえでお答えします。
よくある質問
Q 記事LPと通常LP、どちらから作るべきですか?
通常LPが先です。顕在層向けの受け皿がない状態で記事LPを作ると、読ませたあとの行き先がありません。通常LPを整えたうえで、潜在層への配信を広げる段階になってから記事LPを検討する順番が、無駄が少なくなります。
Q 記事LPの制作費はどのくらいかかりますか?
取材の有無、記事の長さ、デザインの作り込みによって幅があるため、一律の相場を示すことは難しいのが実情です。構成設計と執筆の比重が大きいぶん、同じ分量の通常LPより工数が乗る傾向があります。ご相談いただければ、想定する本数と体制に応じてお見積りします。
Q 記事LPはSEOにも効きますか?
広告の受け皿として作る記事LPは、検索流入を狙う記事とは設計が異なります。検索から集めたい場合は、コラムとして情報提供を主眼にした記事を別に用意するほうが適しています。役割を混ぜると、どちらの目的も中途半端になりやすいため、分けて考えることをおすすめします。
Q 「広告」「PR」の表示は、どこに入れればよいですか?
一般消費者が広告であると判別できることが基準です。ページを開いた読者が見つけられる位置に置く必要があり、本文の末尾や折りたたみの中だけに置く形は避けてください。媒体側でネイティブ広告枠の表記ルールが定められている場合は、それにも従います。個別の判断が必要な場合は、消費者庁の公表資料や専門家にご確認ください。
Q 記事LPの効果はどのくらいで判断できますか?
配信ボリュームによって変わるため、期間で区切るより件数で判断するほうが確実です。読了率とCTAクリック率は比較的早く傾向が出ますが、最終的なCPAは十分な件数が溜まるまで安定しません。まず途中指標で改善を回し、CPAは母数が揃ってから評価する進め方をとります。
Q 既存のコラム記事を記事LPとして使い回せますか?
そのままでは機能しにくいです。検索から来た読者と広告から来た読者では、記事に入った時点の温度が異なります。導入部分を広告クリエイティブに合わせて書き換え、CTAを本文中に配置し直すといった調整が必要です。土台として使えることは多いので、書き下ろすより工数は抑えられます。