この記事でわかること
- 乗り換えを考える前に、自社側で確認しておくべきこと
- 変えるべきかを判断する5つの基準
- 不満があっても、まだ変えるべきでない場面
- 切り替えで実際に失うもの(学習データ・空白期間)
- 時期の選び方と、繁忙期を避ける理由
- 解約を伝える前にやっておく手順
変える前に自社側で確認すること
成果が出ていないとき、原因が代理店側にあるとは限りません。乗り換えても状況が変わらないケースは実際に多くあります。まず次の3点を自社側で確認してください。
- コンバージョンの定義が事業の成果と一致しているか——レポートのCV数と、実際に受け取っている問い合わせ件数が合っているか
- 求めている成果を明確に伝えているか——「もっと増やしてほしい」ではなく、いくらまでなら採算が合うのかを共有しているか
- 自社側の対応が滞っていないか——素材の提供、LP改修の判断、問い合わせへの一次対応が遅れていないか
最も多いのは期待値のズレ:お客様は問い合わせ件数を見ていて、代理店はクリック単価を見ている。どちらも仕事はしているのに、話が噛み合わないまま数か月が過ぎるという状況は珍しくありません。定例で見る数字を事業側の指標にそろえるだけで解消することもあるため、乗り換えの前に一度話し合う価値はあります。
乗り換えを判断する5基準
話し合っても変わらない場合、次の観点で判断してください。1つ当てはまるだけでは決め手になりませんが、複数が重なるなら検討する段階です。
合意した改善が実行されていない
定例で「来月これを試します」と決めたのに、翌月のレポートに反映されていない。これが繰り返される場合、実行されていないか、優先度が低く置かれているかのどちらかです。管理画面の変更履歴を確認すると、実際に手が入っているかは客観的に分かります。
履歴がほとんど動いていないなら、判断材料としては十分悪い数字について説明がない
広告は試行錯誤の連続なので、うまくいかない月は必ずあります。問題は、それについて触れないか、外部要因の話で終わるかです。原因の仮説と対処が出てこない関係では、改善が積み上がりません。
「今いちばんうまくいっていない部分は?」と聞いて反応を見る質問への回答が毎回抽象的
「先月何を変えましたか」に対して「最適化を実施しました」としか返らない状態です。除外を何件追加した、クリエイティブを何本入れ替えた、という具体が出てこないのは、実務が動いていない可能性を示します。
具体を求めても出てこない状態が3か月続くなら要検討担当者が頻繁に変わり、引き継ぎがされていない
交代自体は起こり得ることですが、過去の検証履歴が引き継がれていないと、新担当が同じ検証を繰り返します。「なぜ今この設定なのか」を新担当が説明できないなら、検証が積み上がらない体制だということです。
交代の連絡があったら、引き継ぎ資料の有無を確認する事業の数字に関心を持たれていない
クリック単価やクリック率の話で完結し、問い合わせが商談になっているか、受注につながっているかを聞かれたことがない状態です。広告の指標だけを最適化しても、事業が伸びるとは限りません。
こちらから商談化率を共有して、反応を見るのも有効まだ変えるべきでない場面
逆に、次の状況では乗り換えを急ぐべきではありません。
| 状況 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 配信開始から2〜3か月以内 | 待つ | データが溜まっておらず評価できない |
| 計測に不具合があると分かった直後 | 待つ | 正しいデータで判断していない |
| LPが明らかに弱いと指摘されている | 先に直す | 代理店を変えても同じ結果になる |
| 改善の合意をしたばかり | 1〜2か月見る | 実行と結果を確認してから判断する |
| 繁忙期のまっただ中 | 時期をずらす | 最も取りたい時期に配信が不安定になる |
| 不満はあるが、成果は出ている | 関係改善を試みる | 切り替えコストのほうが大きい可能性 |
切り替えで失うもの
乗り換えには、目に見えないコストがあります。事前に把握しておくと、判断も進め方も変わります。
1. 学習データ
自動入札は、蓄積されたコンバージョンデータをもとに最適化しています。アカウントを作り直すと、この学習がゼロからやり直しになります。成果が安定するまでに再び数週間かかることを見込んでおいてください。アカウントが自社名義でそのまま引き継げるなら、この損失は避けられます。
2. 検証の履歴
「このクリエイティブは試して駄目だった」「このキーワードは単価が合わなかった」という知見は、レポートに残っていなければ失われます。新しい代理店が同じ検証を繰り返すことになり、その分の費用と時間がかかります。
3. 空白期間
切り替えのあいだ配信が止まれば、その期間の問い合わせも止まります。月に数十件の問い合わせがあるアカウントなら、2週間の空白は相応の機会損失です。並走期間を設けるか、切り替えを短期間で済ませる段取りが必要です。
損失を最小化する条件:広告アカウントが自社名義で、過去のレポートが手元にあり、次の依頼先が決まっている。この3つが揃っていれば、乗り換えのコストは大きく下がります。逆に揃っていないなら、まずこれらを整えることから始めてください。
時期の選び方
いつ切り替えるかで、影響の大きさが変わります。
- 繁忙期の直前・最中は避ける——最も取りたい時期に、学習期間からのやり直しになる
- 閑散期に移行する——空白期間や不安定な期間の影響が小さい
- 契約の解約申し出期限を逆算する——「30日前までに通知」などの条項があると、思ったより時間がかかる
- 大きな販促やキャンペーンと重ねない——検証と切り替えが同時進行になると原因が分からなくなる
進め方の手順
順番を間違えると、必要なデータを取り出せなくなります。
乗り換えチェックリスト
【解約を伝える前に】
- 広告アカウントの名義を確認した
- 契約書の最低契約期間と解約申し出期限を確認した
- 管理画面のデータを書き出して保存した
- 過去のレポートをすべて手元に保存した
- クリエイティブの元データの所在を確認した
【次の依頼先を決める】
- 複数社に声をかけて比較した
- これまでの経緯と失敗した施策を共有した
- アカウントを自社名義にできるか確認した
- 引き継ぎの段取りと期間を合意した
【切り替え時】
- 可能であれば数週間の並走期間を設けた
- 繁忙期や大きな販促と重なっていない
- 計測が新体制でも正しく動くことを確認した
- 切り替え後1か月は数字を注意して見る体制にした
特に重要なのが、解約を伝える前にデータを確保することです。解約の連絡後に権限を外され、レポートも取り出せなくなったというご相談は実際にあります。順番を守ってください。
Web広告運用代行
「変えるべきか、まだ様子を見るべきか」の判断からご相談いただけます。現在の管理画面とレポートを拝見し、改善余地がどこにあるかを率直にお伝えします。広告アカウントはお客様名義での運用に対応しています。
広告運用代行の詳細を見るLnXの見解
乗り換えのご相談をいただいたとき、私たちが必ず確認するのは広告アカウントの名義です。ここが自社名義であれば、蓄積した学習データも設定もそのまま引き継げるため、切り替えのコストは大きく下がります。逆に代理店名義だった場合、実質的にゼロからのやり直しになるため、乗り換えの判断そのものが変わることもあります。
そして、率直に申し上げると「乗り換えても状況が変わらないケース」も一定あります。LPが弱い、商材の価格が市場と合っていない、問い合わせ後の対応が遅い——こうした要因が主因の場合、運用者を変えても結果はあまり動きません。私たちがセカンドオピニオンでお話を伺うときも、「今の代理店のままで、まずここを直したほうがよい」とお伝えすることがあります。
そのうえで、明確に運用が動いていないアカウントもあります。見分け方は単純で、管理画面の変更履歴を見れば分かります。レポートに「最適化を実施」と書かれているのに履歴がほとんど動いていないなら、そこは正直に判断すべき部分です。判断材料を増やしたうえで決めていただくのが一番だと考えているので、乗り換えを前提としないご相談でも構いません。現状を拝見して、率直にお伝えします。
よくある質問
Q 何か月成果が出なければ乗り換えを考えるべきですか?
月数だけで決めるのは危険です。広告は配信データが溜まるほど判断の精度が上がるため、立ち上げから2〜3か月は評価が難しい期間になります。見るべきは経過月数ではなく、改善の合意が実行されているか、悪い数字について説明があるか、次に何を試すかが示されているかです。これらが揃っていて成果が出ていないなら、市場や商材側に原因がある可能性も含めて話し合う段階です。
Q 乗り換えると、これまでの配信データはどうなりますか?
広告アカウントが自社名義で、そのまま引き継げるなら、蓄積された学習データや設定は残ります。逆に代理店名義のアカウントで運用していた場合、新しいアカウントをゼロから作り直すことになり、学習期間からのやり直しになります。乗り換えを検討し始めた時点で、まずアカウントの名義と、解約時に何が引き継げるのかを確認してください。
Q 解約はいつ伝えるべきですか?
データの確保と受け皿の準備が済んでから伝えるのが安全です。解約を先に伝えると、権限を外されたりレポートの提供が止まったりして、必要な情報を取り出せなくなることがあります。契約書の解約申し出期限を確認したうえで、管理画面のデータ書き出しや過去レポートの保存を済ませてから連絡してください。
Q 次の代理店が決まっていない状態で解約してもよいですか?
おすすめしません。配信を止めている期間は問い合わせも止まりますし、再開後は学習期間からやり直しになります。次の依頼先を決め、引き継ぎの段取りを合意してから解約の連絡をする順番にしてください。可能であれば、数週間の並走期間を設けると切り替えの影響を小さくできます。
Q 乗り換え先には、これまでの経緯をどこまで伝えるべきですか?
できるだけ詳しく伝えたほうが、提案の精度が上がります。前任がどんな施策を試して何が駄目だったかは、同じ失敗を繰り返さないための重要な情報です。管理画面の閲覧権限を渡せるなら、それが最も早く正確に伝わります。前任への不満だけでなく、うまくいっていた部分も共有してください。