この記事でわかること

  • 訴求がずれているときに、数字がどう出るか(フォームや速度の問題との切り分け)
  • 顧客が実際に使っている言葉を集める4つの場所
  • 集めた言葉を「状況・障害・変化・根拠」に分解し、1行に圧縮する型
  • ファーストビュー以外に、訴求をどこへ置くか(位置別の見せ方一覧)
  • 広告クリエイティブとLPの訴求を揃えるときに一致させる3点
  • 訴求の効果を判定する指標と、やりがちな失敗5つ

訴求が刺さっていないとき、数字はこう出る

LPの成果が出ないとき、最初に疑われるのはデザインとファーストビューです。しかしデザインを整えても数字が動かない場合、原因は「何を言うか」——つまり訴求のほうにあります。訴求とは、「このページは誰の、どんな状況に、何を差し出すのか」を1行で言い切ったものです。

訴求がずれているときは、数字に特徴的な出方をします。

症状 疑うべき場所 訴求の問題かどうか
広告のクリック率は高いが、LPで即離脱される 広告の訴求とLPの訴求が別物になっている 訴求の問題
滞在時間は長いが、フォームまで進まない 読ませてはいるが、自分ごとになっていない 訴求の問題
問い合わせは来るが、商談にならない相手ばかり 誰に向けたページかが曖昧 訴求の問題
フォームの途中で落ちる 入力項目・エラー表示 訴求ではなくフォームの問題
スマホだけCVRが極端に低い 表示速度・レイアウト 訴求ではなく実装の問題

上の3行に当てはまるなら、ボタンの色を変えても動きません。逆に下2行であれば、訴求を作り直す前にフォームと表示速度を直したほうが早く効きます。訴求の作業に入る前に、どちらの問題なのかを切り分けてください。

顧客の言葉を集める4つの場所

訴求は会議室では作れません。作るのではなく、すでに顧客が使っている言葉を拾い上げて並べ替える、という作業です。集める場所は4つあります。

1

問い合わせフォームの自由記述欄

もっとも精度が高い一次情報です。問い合わせてきた人が自分の状況をどう説明しているか、どんな単語を使っているかが、加工されない形で残っています。直近30〜50件を書き出し、名詞と動詞だけを抜き出してください。「集客」より「電話が鳴らない」、「業務効率化」より「毎月の請求書作成に3日かかる」といった具体語が出てくれば、そのまま訴求の素材になります。

自由記述を1行ずつコピーして、抽象語に置き換えずに並べる
2

商談の冒頭5分の録音・議事録

商談の最初に相手が話す「いま困っていること」は、検討の入口そのものです。ここで出てくる言い回しは、LPのファーストビューにそのまま置ける強度があります。逆に、商談後半で出てくる専門用語は使わないでください。後半の言葉は、こちらが説明したあとに相手が覚えた言葉であって、来訪時点の語彙ではありません。

自社が教えた言葉を、顧客の言葉と取り違えない
3

失注理由と、断られたときの一言

受注理由より失注理由のほうが、訴求の材料としては有用です。「高い」「タイミングが合わない」「社内で通らない」という3つは、それぞれ別の訴求で潰せます。「高い」は費用の内訳を先に開示する、「タイミング」は小さく試せる入口を用意する、「社内で通らない」は稟議に使える材料を渡す、という形です。

4

検索クエリと、広告の検索語句レポート

Search Consoleのクエリと、リスティング広告の検索語句レポートには、顧客が実際に打ち込んだ言葉が残っています。ここに出てくる言い回しは、想像ではなく実測です。特に、自社が想定していなかった修飾語(「小規模」「初めて」「乗り換え」「安い」など)が混じっていたら、その語が示す状況こそが未対応の訴求です。

想定外の修飾語を、そのままLPの見出し語彙に持ち込む

お客様の声を「掲載する」話と、訴求を「作る」話は別物です。ここで集めた言葉は、そのままLPに引用するとは限りません。掲載の可否や見せ方については、信頼性要素の設計として別途整理が必要です。

集めた言葉を訴求文に変換する

集めた言葉は、そのままでは訴求になりません。「状況」「障害」「変化」「根拠」の4つに分解して組み直します。

要素 何を書くか 例(Web集客の場合)
状況 読者が置かれている具体的な場面 広告は出しているが、問い合わせが月に数件しかない
障害 自力で解決できない理由 どこを直せばいいのかを判断できる人が社内にいない
変化 この先どうなるか 毎月、何を直すかが数字で決まる状態になる
根拠 なぜそれができるのか 同じ体制で運用した実績と、そのときの数値

1行に落とすときの型

4要素がそろったら、ファーストビューに置く1行に圧縮します。使いやすい型は2つです。

  • 状況+変化型:「〈状況〉の会社が、〈変化〉になるまでを〈手段〉で支援します」
  • 障害+解消型:「〈障害〉を、〈手段〉でまるごと引き受けます」

どちらの型でも、主語は自社ではなく読者側に置いてください。「私たちは〜が得意です」で始まる1行は、読者が自分の話だと認識する前に終わります。

訴求の良し悪しは、社内で判断しないほうが早いです。作った1行を、業界外の人に読ませて「これは誰向けのサービス?」と聞いてください。想定した相手が返ってこなければ、言葉が足りていません。この確認は5分で終わり、社内会議を3回やるより精度が高く出ます。

訴求を置く場所は、ファーストビューだけではない

訴求はファーストビューに1回書いて終わりではありません。読者はスクロールしながら「本当にそうなのか」を検証していくので、訴求は形を変えて繰り返し現れる必要があります。

位置 訴求の見せ方 読者の心の状態
ファーストビュー 状況+変化を1行で 自分向けかどうかを3秒で判定している
共感パート 障害を、顧客の言葉のまま列挙 「まさにこれ」と思えるかを確認している
サービス説明 変化に至る手順として書く 実現可能かを疑っている
実績・事例 根拠を、数値と条件つきで提示 自社と近い条件かを探している
料金 費用の内訳と、含まれない範囲 予算に収まるかを判断している
FAQ 失注理由への回答をそのまま置く 断る理由を探している
CTA周辺 変化を、次の1アクションの言葉で 押したあと何が起きるかを気にしている

よくあるのは、ファーストビューだけを何度も作り直して、以降のセクションが前の訴求のまま残っているパターンです。これをやると、上と下で言っていることが違うページになり、読み進めるほど信頼が落ちます。訴求を変えたら、共感パートの列挙・事例の選び方・FAQの並び順まで一緒に入れ替えてください。

広告の訴求とLPの訴求を揃える

広告から流入するLPでは、クリエイティブで言ったことと、LPの1行目が一致しているかどうかが、離脱率をいちばん大きく動かします。クリエイティブで強く刺した訴求ほど、LPで裏切られたときの落差が大きくなります。

人材紹介会社のMETA広告立ち上げで制作したLPと、配信した広告クリエイティブを並べて示した図
LPと広告クリエイティブを同じ訴求で設計した実例(人材紹介会社様のMETA広告 新規立ち上げ)。クリエイティブで使った言葉と、LPのファーストビューで受け止める言葉を揃える前提で、広告とLPを同時に設計しています。出典:LnX合同会社 支援実績(事例詳細はこちら

揃えるのは3点

  • 言葉:クリエイティブで使った名詞・動詞を、LPの1行目にも入れる。言い換えない。
  • 対象:広告の絞り込み(業種・規模・地域)が、LPの1行目にも書かれている。
  • 次の行動:広告で示した約束(無料相談/資料/診断)と、LPのCTAが同じ。

訴求ごとにLPを分けるかどうかは、配信量で決めてください。訴求別にLPを用意すれば一致度は上がりますが、ページが増えるほど改善が薄く分散します。1つのLPに十分なアクセスが集まらないうちからページを増やすと、どれも判断できる数字が溜まりません。

訴求の良し悪しをどう判定するか

訴求の検証は、CVRだけを見ても判断できません。訴求が効いているかどうかは、ページの上のほうの指標に先に出ます。

見る指標 何がわかるか 判断
ファーストビューの直帰・離脱 1行目が自分ごとになったか 改善すれば訴求が合ってきている
スクロール到達率(中盤まで) 共感パートで続きを読む気になったか ここで落ちるなら障害の言語化がずれている
CTAクリック率 変化と次の行動が結びついたか 読了しているのに押されないならオファーの問題
問い合わせ内容の質 誰に向けたページになっているか ズレた相手が来るなら対象の絞り込みが足りない

訴求の検証で最も軽視されるのが、最後の「問い合わせ内容の質」です。件数が増えても商談にならない相手ばかりなら、その訴求は広く刺さっているだけで、深くは刺さっていません。営業側に毎月「今月の問い合わせはどうでしたか」と聞く経路を作っておくと、CVRより早く訴求の当たり外れがわかります。

テストするなら、1回に1要素

ファーストビューの見出しと画像とCTA文言を同時に変えると、どれが効いたのか分かりません。検証したいのが訴求なら、変えるのは見出しの文言だけにしてください。アクセスが少なくて統計的な判定が難しい場合は、期間を区切った前後比較でも、指標を上から順に見れば方向性は掴めます。

訴求づくりでやりがちな失敗5つ

1

全員に向けて書いてしまう

対象を絞ると機会を逃すように感じますが、実際には逆です。「誰にでも合います」と書かれたページは、誰も自分の話だと思いません。まずは主力の顧客層1つに絞り、そこで数字が安定してから対象を広げてください。

2

社内用語をそのまま見出しに使う

サービス名、独自メソッド名、業界の略語は、読者にとっては未知の単語です。1行目に未知の単語が2つ入ると、読者はそこで読むのをやめます。固有名詞は、状況と変化を伝えたあとに出してください。

ファーストビューに固有名詞は1つまで
3

形容詞で強さを出そうとする

「圧倒的」「徹底的」「完全」といった形容詞は、情報量を増やさずに文字数だけを増やします。強さは形容詞ではなく、具体的な条件と数字で出ます。「実績多数」より「同じ業種で12社」、「早い」より「初回提案まで5営業日」のほうが強く読まれます。

形容詞を消して、条件・期間・件数に置き換える
4

自社の強みから逆算して書く

強みの棚卸しから訴求を作ると、「うちができること」の一覧になります。読者が知りたいのは、自分の状況がどう変わるかです。強みは根拠のパートで使う材料であって、1行目の主語ではありません。

5

訴求を変えたのに、以降のセクションを直さない

ファーストビューだけ差し替えると、共感パートや事例が前の訴求のまま残り、ページの中で話が食い違います。訴求の変更は、ページ全体の書き換えとセットです。部分差し替えで済ませたいなら、そもそも訴求ではなく表現の調整にとどめてください。

なお、実績・お客様の声・比較表現をLPに載せる場合は、表示の正確さや広告表示のルールに関わる論点があります。業種によっては業界固有の規制もあるため、個別の表現が問題ないかどうかの判断は、弁護士等の専門家にご確認ください。当社は法律事務所ではありません。

訴求設計チェックリスト

そのまま社内共有できる項目

【材料を集める】

  • 直近30〜50件の問い合わせ自由記述を、書き換えずに書き出した
  • 商談冒頭で顧客が使った言い回しを記録している
  • 失注理由を3分類(価格/タイミング/社内調整)で集計した
  • Search Consoleのクエリと広告の検索語句レポートを確認した
  • 想定していなかった修飾語を拾い出した

【1行に落とす】

  • 状況・障害・変化・根拠の4要素を書き出した
  • 1行目の主語が読者側になっている
  • ファーストビューの固有名詞が1つ以内になっている
  • 「圧倒的」「徹底的」などの形容詞を条件・数字に置き換えた
  • 業界外の人に読ませて、想定どおりの相手が返ってきた

【ページ全体に反映する】

  • 共感パートの列挙を、集めた顧客の言葉に差し替えた
  • 掲載する事例を、新しい訴求に近い条件のものへ入れ替えた
  • FAQに失注理由への回答を入れた
  • CTA周辺の文言が、押したあとに起きることを書いている
  • 広告クリエイティブの言葉・対象・約束をLPと揃えた

【効果を見る】

  • ファーストビューの離脱とスクロール到達率を計測できる状態にした
  • テストでは1回に1要素だけを変えている
  • 問い合わせ内容の質を営業側から戻す経路を作った

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LnXの見解

訴求の相談を受けたとき、当社がまず見るのは広告の検索語句レポートと問い合わせの自由記述です。この2つに、そのLPで使うべき言葉がほぼ書かれているからです。訴求を新しく発明する必要はほとんどなく、すでに顧客が口にしている言葉の中から、成約につながった側の言い回しを選び直す作業になります。会議室でキャッチコピーを考える時間より、この読み込みに時間を使ったほうが、結果は安定します。

もうひとつお伝えしているのは、訴求を変えるなら広告とLPを同時に動かす必要があるということです。LPだけを作り直しても、広告のクリエイティブが前の訴求のままなら、来る人が変わりません。逆にクリエイティブだけ強くしても、LPが受け止められなければクリック単価が上がるだけです。訴求は、広告・LP・問い合わせ後の一次対応まで通して1本でなければ意味がありません。

LnXでは、広告運用とLPの改善を分けずに一体で見ています。配信データから「どの言葉で来た人が商談になったか」を拾い、その言葉をLPの1行目に戻し、また配信する——という往復を毎月回す形です。訴求の作り直しから配信までをまとめてご相談いただけます。

よくある質問

Q 訴求とキャッチコピーは何が違いますか?

訴求は「誰の、どんな状況に、何を差し出すのか」という中身の設計で、キャッチコピーはそれを言葉にした表現です。表現だけを差し替えても、中身がずれていれば数字は動きません。先に対象と変化を決め、そのうえで言い回しを整える順番で進めてください。

Q 問い合わせがまだ少なく、集める材料がありません。どうすればいいですか?

件数が少ない場合は、商談の録音と失注理由から始めてください。5件でも、相手が自分の状況をどう説明したかを一語一句そのまま書き出すと、共通する言い回しが見えます。あわせて、リスティング広告の検索語句レポートを少額の配信でも確認すると、実際に打ち込まれた言葉が手に入ります。

Q 訴求はいくつ用意すべきですか?

最初は1つに絞ってください。訴求別にLPを分けるのは、1つのLPに判断できるだけのアクセスが集まってからです。早い段階で分けると、どのページも数字が溜まらず、どれが効いているのか分からないまま運用することになります。

Q ファーストビューだけ差し替えてもいいですか?

表現の微調整であれば問題ありませんが、訴求そのものを変えるなら、共感パートの列挙・掲載する事例・FAQ・CTA周辺の文言まで合わせて入れ替えてください。上と下で言っていることが食い違うページは、読み進めるほど信頼を落とします。

Q 訴求が当たっているかどうかは、どの数字で判断しますか?

CVRだけを見ないでください。ファーストビューの離脱、中盤までのスクロール到達率、CTAクリック率の順に見ると、どこでずれているかが切り分けられます。あわせて、問い合わせ内容の質を営業側から毎月戻してもらうと、件数より早く訴求の当たり外れが分かります。

Q 自社の強みを前面に出したいのですが、なぜ避けたほうがいいのですか?

強みを否定しているわけではなく、置く場所の問題です。読者は最初の数秒で「自分向けか」を判断しているため、1行目に必要なのは自社の説明ではなく読者の状況です。強みは、変化が実現できる根拠として、サービス説明や実績のパートで使ってください。

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