この記事でわかること
- リライト対象を感覚ではなく数値で選ぶ手順
- 掲載順位・表示回数・CTRの組み合わせで分かる4つのパターン
- パターン別に、どこを直せば伸びるのか
- 触らないほうがよい記事の見分け方
新規記事より、まずリライト
記事が数十本たまってくると、新規で書き続けるより既存記事を直すほうが効率がよくなります。理由は単純で、すでに検索結果に表示されている記事は、改善が数値に反映されるまでの距離が短いからです。
効果が出るまでの期間の目安を並べると、この差がはっきりします。新規ドメインでの立ち上げは6か月〜1年以上、既存サイトでの更新再開が3〜6か月、既存サイトへの施策追加は1〜3か月とされています(出典:SEO効果はいつ出る?施策タイプ別タイムライン|テクノグラム)。
記事1本の外注費が5〜10万円という相場を踏まえると、同じ予算で「新規1本」と「既存5本のリライト」のどちらを選ぶかは、記事数が増えるほど後者に傾きます。
見るべき指標は3つだけ
リライト対象の選定に、高価なツールは要りません。Search Consoleの3指標で判断できます。
| 指標 | 何が分かるか |
|---|---|
| 平均掲載順位 | あと少しで上位に入れる記事はどれか |
| 表示回数 | 検索需要のある記事はどれか |
| CTR(クリック率) | 表示されているのに選ばれていない記事はどれか |
選定の考え方:この3つを単独で見るのではなく、組み合わせで見るのがポイントです。「順位は低いが表示回数が多い」と「順位は高いがCTRが低い」では、直すべき箇所がまったく違います。
4つのパターンと、それぞれの直し方
A. 順位4〜15位に滞留
最優先。内容の網羅性が足りていない可能性が高い。上位記事にあって自社にない見出しを洗い出し、一次情報を加えて追記する。
B. 表示は多いがCTRが低い
中身ではなく見え方の問題。titleとmeta descriptionを、検索意図に対する答えが読み取れる文言へ書き換える。工数が最も小さい。
C. 想定と違うクエリで表示
読者のニーズと記事の主題がずれている。そのクエリ向けに記事を分割するか、新規記事の起点として使う。
D. 表示回数がほぼゼロ
そもそも需要がないか、インデックスされていない。まずインデックス状況を確認し、需要がない場合は統合を検討する。
この中で最も費用対効果が高いのはBです。本文を1文字も直さずに流入が増えるケースがあり、作業時間も1本あたり数分で済みます。まとまった時間が取れないときは、Bだけをまとめて処理するだけでも効果があります。
触らないほうがよい記事
リライトは万能ではありません。次に当てはまる記事は、原則として手を入れないでください。
リライト対象から外す条件
- すでに1〜3位に入っている(大幅な書き換えで評価が入れ替わるリスク)
- 公開から1か月以内で、順位がまだ安定していない
- 季節性が強く、対象シーズンを外れている
- 直近でリライト済みで、効果判定の期間中である
注意:上位表示できている記事を「もっと良くしよう」として全面改稿すると、順位を落とすことがあります。上位記事に手を入れる場合は、既存の構成を維持したまま情報を追加する形にとどめてください。
運用フローに落とす
リライトが続かない最大の理由は、対象選定に毎回時間がかかることです。ここを定型化すると、判断コストがほぼゼロになります。
週次で回すリライト運用
- Search Consoleから直近28日の掲載順位・表示回数・CTRを取得する
- 順位4〜15位かつ表示回数の多い順に並べ、上位5本をA案件として抽出
- 表示回数が一定以上でCTRが平均を下回る記事をB案件として抽出
- A案件は週1〜2本、B案件はまとめて処理する
- リライト実施日を記録し、1〜3か月後に効果を判定する
実施日の記録が重要です。いつ直したかが分からないと、順位変動が施策の効果なのか外部要因なのか判別できません。
SEO / AIO 支援
貴社サイトのAIOスコアと改善ポイントを、担当者が個別に確認してレポートでお送りします。
優先順位を決めるツールと、無料でできる代替
「リライトの優先順位を機械的に出せるツールはないか」というご質問をよくいただきます。結論から言うと、記事数が200本を超えるまでは専用ツールは要りません。前章までの3指標は、すべてSearch Consoleから取得できるためです。
無料で組む場合の手順
- Search Consoleの「検索パフォーマンス」を開き、期間を過去3か月に設定する
- 「ページ」タブに切り替え、CTRと平均掲載順位の列を表示する
- 右上からエクスポートし、スプレッドシートに貼り付ける
- 掲載順位が4〜20位、かつ表示回数が上位30%の行だけを残す
- 残った行を「表示回数 ×(同順位帯の平均CTR − 実CTR)」の降順に並べる
最後の列が、そのページを1ページ目に押し上げたときに増えるクリック数の概算になります。平均CTRは外部の統計を持ってこなくても、自社サイト内の同じ順位帯の平均を使えば十分です。ここまでで、直すべき記事が上から順に並びます。
この作業は月1回で足ります。毎週やっても数値はほとんど動きません。月初に30分かけて上位10本を決め、その月はその10本だけを直す、という運用がいちばん続きます。
ツールを使う価値が出る条件
次のいずれかに当てはまると、手作業の限界が来ます。
- 記事数が200〜300本を超え、エクスポートの行数が扱いきれない
- 複数サイト・複数ドメインを横断して見る必要がある
- 担当者が複数いて、誰がどの記事をいつ直したかの履歴を残したい
- AI検索での引用状況もあわせて見たい
| 手段 | できること | 向いている規模 |
|---|---|---|
| Search Console+スプレッドシート | 3指標での抽出と優先順位付け | 〜200本 |
| Looker Studio | 上記の自動更新・ダッシュボード化 | 100〜500本 |
| SEO分析ツール(有料) | 競合比較、キーワード網羅性の診断 | 300本〜 |
| AIO/LLMO計測ツール | AI回答内での引用状況の可視化 | AIO対策を並行する場合 |
ただし、どのツールを使っても出てくるのは候補リストまでです。「この記事のどこを、どう直すか」は数値からは出てきません。ツール導入で解決するのは選定の手間であって、リライトそのものの工数ではない、という前提で検討してください。
LnXの見解
リライトは「気づいたときにやる作業」にしている限り続きません。LnXでは、この対象抽出をSEOレポートの定常タスクとして組み込み、毎回同じ基準で候補が出てくる状態にしています。人が判断するのは「どう直すか」だけで、「どれを直すか」は数値から機械的に決まります。
自社のオウンドメディアでは、この運用と新規入稿を並行させて約3か月で113記事を積み上げ、ページ表示回数を約7倍、問い合わせを約15倍にしました。本数を出すことと既存記事を伸ばすことは、どちらかを選ぶものではなく同じフローの中で両方回すものです。
もし今、記事はあるのにどれを直せばよいか分からない状態であれば、順位4〜15位の記事を並べるところから始めてください。それだけで、当面のリライト対象は十分に見つかります。
よくある質問
Qリライトと新規記事、どちらを優先すべきですか?
すでに記事が数十本ある状態なら、リライトのほうが投下工数に対する効果は高くなります。新規記事は評価が積み上がるまで時間がかかりますが、すでに表示されている記事は改善が順位や流入に反映されるまでの距離が短いためです。記事がまだ少ない段階では新規を優先してください。
Qどの数値を見てリライト対象を選べばよいですか?
Search Consoleの掲載順位・表示回数・CTRの3つで足ります。順位が4〜15位に滞留している記事は追記による改善対象、表示回数はあるのにCTRが低い記事はtitleとmeta descriptionの書き換え対象、想定と違うクエリで表示されている記事は記事分割または新規記事の起点になります。
Qリライトの効果はどれくらいで出ますか?
既存サイトへの施策追加は1〜3か月、コンテンツによる改善は3〜6か月が目安とされています。公開直後に順位が動くこともありますが、変動が落ち着くまで待ってから評価してください。
Q記事を削除したほうがよいケースはありますか?
内容が古く事実と異なる記事、他の記事と内容が重複している記事は、修正か統合を検討する価値があります。ただし削除は最後の手段です。表示回数が発生している記事を消すと、その分の接点を失います。
Qリライトすると順位が下がることはありますか?
あります。特に上位表示できている記事を大きく書き換えると、評価が入れ替わって一時的に下がることがあります。1〜3位に入っている記事は原則として触らず、触る場合も加筆にとどめてください。