この記事でわかること
- E-E-A-Tの4要素と、Trust(信頼性)が土台になる理由
- AI検索の時代に著者情報・一次情報が効く理由
- 著者ページ・監修表記・更新日の整え方
- 会社概要と編集ポリシーで押さえる項目
- 自社で出せる一次情報(Experience)の作り方
- 構造化データでの伝え方と、よくある失敗5つ
E-E-A-Tとは何を指す言葉か
「E-E-A-T対策をしましょう」と提案されたものの、具体的に何をすればいいのか分からない、という相談をよくいただきます。用語としては広く知られているのに、実装として何をどこに書くのかが説明されないまま終わることが多い領域です。
E-E-A-Tは、Googleが検索品質評価ガイドライン(Search Quality Rater Guidelines)の中で使っている、ページやサイトの質を捉えるための考え方です。2022年12月に、それまでのE-A-Tへ「Experience(経験)」が加わり、現在の4要素になりました。
| 要素 | 問われていること | Webページ上での現れ方 |
|---|---|---|
| Experience(経験) | そのテーマを実際に体験・実務として扱ったことがあるか | 自社で実施した手順、失敗事例、撮り下ろしの画像 |
| Expertise(専門性) | その分野について語れる知識・技能があるか | 著者の経歴・資格、扱うテーマの一貫性 |
| Authoritativeness(権威性) | その分野の情報源として他から認識されているか | 他サイトからの言及・被リンク、指名検索 |
| Trustworthiness(信頼性) | 誰が運営し、責任の所在が明らかか | 会社概要、連絡先、出典表記、更新日 |
4つのうち、土台になるのはTrust(信頼性)です。Googleは、残りの3要素はTrustを支えるものと位置づけています。つまり、誰が書いていて、誰が責任を持っているのかが分からないサイトは、他の3つをどれだけ積んでも評価されにくいということです。着手の順番も、この考え方に沿って決めるのが合理的です。
注意しておきたいのは、E-E-A-Tは「スコア」ではないという点です。Googleは、E-E-A-Tを直接測る単一の指標が存在するわけではないと説明しています。したがって「E-E-A-Tを◯点にする」という施策設計は成立しません。実務としては、評価者が見る観点をページ上で確認できる状態にしておく、という作業に落とし込みます。
AI検索の時代にE-E-A-Tが効く理由
検索結果の上位表示だけを考えていた時期に比べて、著者情報や運営者情報の整備は優先度が上がっています。理由は、情報を選別する側が、検索エンジンから生成AIへ広がったからです。
AIは「誰が言っているか」を手がかりにする
生成AIが回答をつくるとき、複数のページから情報を集めて要約します。このとき、同じ内容が書かれた2つのページがあれば、発信元がはっきりしているほうが引用先として選ばれやすくなります。運営者不明の記事より、実務を持つ企業が名前を出して書いた記事のほうが、参照元として扱いやすいためです。
一次情報がないページは要約に埋もれる
どこにでも書いてある一般論だけの記事は、AIの回答に取り込まれても出典として名前が出ません。逆に、そのサイトにしかない数字・手順・失敗事例が1段落でもあると、その部分を根拠として引かれる可能性が生まれます。これはExperienceの話であり、同時にAIO(AI最適化)の実務でもあります。
SEOとAIOで、やるべきことは大きくは分かれません。「誰が書いたかが分かる」「独自の情報がある」「事実確認ができる」という3点は、検索エンジンの評価観点でもあり、AIが引用先を選ぶときの手がかりでもあります。AI検索側の全体像はAI検索(LLMO)対策とは?ChatGPT・AI Overviewsに引用される実践ガイドにまとめています。
著者・監修者情報の整え方
最初に着手すべきは、記事に著者を明示することです。ただし、名前を出せばよいという話ではありません。「なぜその人がこのテーマを語れるのか」が読み取れるかが判断の基準になります。
著者ページを独立したURLで作る
記事下の数行のプロフィールだけでは、経歴や実績を十分に書けません。1人につき1ページを用意し、記事側からはそのページへリンクする形にします。著者ページには、担当領域・経歴・保有資格・実務年数・執筆記事の一覧を置きます。
- 肩書だけでなく、どの会社で何を担当したかまで書く
- 執筆記事一覧を置き、扱うテーマの一貫性を示す
- 複数人いる場合は著者一覧ページも用意する
「編集部」名義をどこまで使うか決める
企業メディアでは編集部名義も一般的で、それ自体が問題になるわけではありません。ただし専門性が問われるテーマでは、個人の著者または監修者を立てたほうが読者にも伝わります。編集部名義を使う場合でも、編集部が何者なのかを説明したページは用意してください。
監修者は「何をどこまで見たか」まで書く
監修者の名前と資格だけを置き、実際には目を通していない運用は避けてください。「本記事の◯◯章について、△△の観点から内容を確認しています」まで書ける状態が望ましく、それが書けないなら監修表記自体を外すほうが安全です。
公開日と更新日を両方出す
制度や仕様が変わる領域では、情報の鮮度そのものが信頼性の一部です。公開日だけでなく更新日も表示し、実際に内容を直したときにだけ更新日を動かします。中身を変えずに日付だけ書き換える運用は、読者の信頼を損ないます。
運営者情報と編集ポリシー
著者情報を整えても、サイト全体の運営者が不明なままでは信頼性は成立しません。ここは記事側ではなく、サイト全体の共通ページで担保します。
| 整備するページ | 載せる内容 | 優先度 |
|---|---|---|
| 会社概要 | 法人名・所在地・設立時期・代表者名・事業内容 | 高 |
| 問い合わせ | 連絡手段。フォームだけでなく到達可能な窓口を明記 | 高 |
| プライバシーポリシー | 取得する情報と利用目的 | 高 |
| 編集ポリシー | 記事の作成手順、事実確認の方法、生成AIの利用範囲 | 中 |
| 実績・事例 | 支援した内容と結果。数値を出す場合は条件も併記 | 中 |
編集ポリシーは、AI活用時代に効いてくるページです。生成AIを使って記事を作ること自体はGoogleのガイドラインで否定されていませんが、「どこまでAIが担当し、誰が確認しているか」を説明できるかどうかで、読者の受け止め方は変わります。制作フローを1ページにまとめておくと、営業資料としても使えます。
「経験」を記事に載せる方法
4要素のうち、後から積み上げるのが最も難しいのがExperienceです。ただし、中小企業でも出せる一次情報は必ずあります。自社で実際にやったことを、そのまま書けるかどうかだけの問題です。
- 自社で試した手順と結果:施策の前後で何がどう変わったか。数値を出す場合は期間や条件も併記します
- うまくいかなかった事例:失敗の記述は他社が書かないため、独自性が最も出ます
- 現場で聞かれる質問:商談やサポートで実際に出た質問と回答は、そのまま一次情報になります
- 撮り下ろしの画像・スクリーンショット:管理画面や実物の写真は、体験の裏づけとして機能します
- 自社データの集計:問い合わせ内容の傾向など、社内にしかない集計は強い素材です
数値を出すときは、根拠の所在を必ず持っておいてください。実績値であれば集計元、外部の統計であれば出典元へのリンクを添えます。出典のない数字は、書かないほうが安全です。誤りが1つ見つかると、そのページ全体の記述が疑われます。
構造化データで著者・運営者を伝える
ページ上の表記に加えて、機械が読める形でも同じ情報を持たせます。人間向けの表記と構造化データの内容が食い違わないことが前提です。
| 種類 | 何を伝えるか | 実装の場所 |
|---|---|---|
| Article の author | その記事を書いたのが誰か(Person または Organization) | 各記事ページ |
| Article の publisher | 発行主体となる組織名とロゴ | 各記事ページ |
| Person | 著者個人の肩書・所属・プロフィールURL | 著者ページ |
| Organization | 法人名・ロゴ・所在地・公式SNSなどの参照先 | トップページまたは会社概要 |
| BreadcrumbList | そのページがサイトのどこに位置するか | 全ページ |
構造化データは「書いてある内容を機械に正しく渡す」ための手段であって、書いていないことを主張する道具ではありません。ページ上に存在しない著者名や資格をマークアップだけで書くのは、Googleの構造化データに関するガイドラインに反します。実装の具体的な書き方はAIに正しく読ませる構造化データの実装|Article・FAQPage・BreadcrumbListで扱っています。
よくある失敗5つ
著者名だけ置いて、リンク先がない
記事下に名前だけがあり、その人が何者か確認できないパターンです。名前は、たどれる先があって初めて情報になります。著者ページを1枚作るだけで解消します。
監修者が形式的に置かれている
資格保有者の名前を借りているだけで、実際の確認が行われていない状態です。読者に気づかれた時点で、サイト全体の信頼が失われます。確認の実体がないなら表記しないという判断が正しいです。
扱うテーマが広がりすぎている
アクセスを狙って関係の薄いテーマまで書くと、そのサイトが何に詳しいのか伝わらなくなります。専門性は、書かない領域を決めることで生まれます。テーマの絞り込みは内部リンクはどう設計する?SEOとAI検索の両方に効くトピッククラスターの組み方の考え方が使えます。
数値の出典が書かれていない
「一般的に◯%と言われています」という書き方が続くと、事実確認ができません。出典を書けない数字は、記述そのものを外すか、自社の観測として範囲を示す形に書き換えてください。
サイト内で情報が食い違っている
会社概要の設立年と記事内の記述が違う、実績の数値がページごとに異なる、といったケースです。AIはサイト全体を横断して読むため、記述の不一致はそのまま信頼性の低下につながります。数値は台帳で一元管理し、更新時は全ページを見直してください。
E-E-A-T実装チェックリスト
整備状況チェックリスト
【著者まわり】
- 各記事に著者または監修者が明示されている
- 著者ページが独立したURLで存在する
- 著者ページに経歴・担当領域・執筆記事一覧がある
- 公開日と更新日の両方が表示されている
【サイト全体】
- 会社概要に法人名・所在地・代表者名がある
- 到達可能な問い合わせ窓口が明記されている
- プライバシーポリシーが公開されている
- 編集ポリシー(制作手順・事実確認・AI利用範囲)がある
【記事の中身】
- 自社で実施した手順や事例が1つ以上入っている
- 外部データには出典とリンクが付いている
- 扱うテーマが自社の事業領域から外れていない
- サイト内で数値・表記が食い違っていない
【機械可読性】
- Article構造化データにauthorとpublisherがある
- 著者ページにPerson構造化データがある
- 構造化データの内容がページ上の表記と一致している
- 更新時に構造化データの日付も更新している
LnXの見解
E-E-A-Tの相談をいただくとき、最初にお伝えしているのは「これは記事を書く前に終わらせておく作業だ」ということです。著者ページ・会社概要・編集ポリシーは、記事が何本になっても1回作れば済みます。逆に、これを後回しにしたまま記事だけを増やすと、あとから全記事に著者情報を差し込む作業が発生します。100本を超えてからでは、単純に手間が跳ね上がります。
もう一つ、実務でよく起きるのがサイト全体の記述の食い違いです。実績の数値、設立時期、サービスの提供範囲。ページごとに少しずつ違うまま運用されているサイトは珍しくありません。人間の読者は気づかないこともありますが、サイト全体を横断して読む側からすると、どれが正しいのか判断できない状態になります。私たちが自社サイトで公開数値を台帳で一元管理しているのは、この不一致を機械的に潰すためです。
そして、Experienceだけは外注では作れません。自社が実際にやったこと、うまくいかなかったこと、現場で聞かれる質問——ここは事業者側にしかない素材です。私たちがご支援する場合も、この部分はヒアリングで引き出したうえで記事に落とし込みます。著者情報や構造化データの整備、テンプレートへの組み込み、記事の設計から入稿までは、こちらでまとめて対応できます。サイトの信頼性まわりを一度整理したいという場合は、現状を診断したうえで着手の順番をご提案します。
よくある質問
Q E-E-A-Tはランキング要因ですか?
Googleは、E-E-A-Tを直接測る単一の指標があるわけではないと説明しています。検索品質評価ガイドラインで使われている考え方であり、スコアとして計算されるものではありません。実務上は、評価の観点として示されている内容をページ上で確認できる状態に整える、という作業として扱うのが適切です。
Q 著者は個人名を出すべきですか?編集部名義ではだめですか?
編集部名義そのものが問題になるわけではありません。ただし、専門性が問われるテーマでは、担当者個人または監修者を立てたほうが読者に伝わりやすくなります。編集部名義を使う場合でも、編集部が何者で、どのような手順で記事を作っているかを説明したページは用意してください。
Q 資格を持つ監修者がいません。それでもE-E-A-Tは改善できますか?
できます。資格は専門性を示す手段の一つであって、唯一の方法ではありません。実務年数、担当してきた案件の領域、自社で実施した施策と結果といった情報でも、そのテーマを語れる理由は示せます。むしろ中小企業では、実務の具体性のほうが差別化になりやすい素材です。
Q 生成AIで書いた記事はE-E-A-Tの観点で不利になりますか?
Googleは、制作にAIを使ったこと自体を理由に評価を下げるとは説明していません。問題になるのは、検索順位の操作を主目的とした内容の薄い量産です。誰が確認し、どこに一次情報を足したのかを説明できる状態であれば、AIを制作工程に組み込むこと自体は支障になりません。編集ポリシーで利用範囲を明示しておくと、読者にも伝わります。
Q 著者ページを作ったあと、どのくらいで効果が出ますか?
時期を断定することはできません。著者情報の整備は、それ単体で順位を動かす施策というより、記事の中身や一次情報と組み合わせて効いてくる基盤の整備です。実務では、着手前に対象記事の表示回数と掲載順位を控えておき、記事側の改善とあわせて数か月単位で比較する進め方をとります。
Q 会社概要や問い合わせページは、記事の評価に関係しますか?
運営者が特定でき、連絡が取れる状態かどうかは、信頼性を判断するうえでの基本的な確認事項です。記事単体の評価というより、サイト全体の土台として機能します。所在地・代表者名・到達可能な連絡窓口が揃っているかを、まず確認してください。