この記事でわかること

  • UGC(お客様の投稿)が生まれる条件と、生まれない店舗の共通点
  • 投稿を促すために現場でできる5つの仕掛け
  • 集まったUGCを自社アカウントや広告で使うときの許諾の取り方
  • 対価を渡した場合に発生する、ステマ規制上の注意点
  • UGCの効果をどう測るか(フォロワー数以外の指標)
  • 運用ルールにしておくべきチェックリスト

自社アカウントの投稿だけで認知を広げ続けるのは、年々きつくなっています。一方で、お客様が自分のアカウントで投稿してくれた1本は、自社の投稿より届きやすく、信頼もされやすい。この記事では、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を偶然ではなく仕組みで増やす方法と、集まった投稿を自社で使うときに必ず通すべき許諾・表示のルールを整理します。

UGCが生まれない店舗・企業に共通していること

「うちのお客さんは投稿してくれない」という相談を受けたとき、実際に多いのはお客様が投稿したくないのではなく、投稿する理由と手段が用意されていないケースです。人が自分のアカウントに何かを載せるとき、そこには必ず「自分のフォロワーに見せたい何か」があります。

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撮る対象がない

写真に撮って映えるもの、説明したくなる仕掛け、その日限定の何か。どれも無い状態では、わざわざ投稿する動機が生まれません。飲食であれば提供時の演出、物販であれば開封時の見え方、サービス業であればビフォーアフターや当日の記録が対象になります。

2

誰を指定すればいいか分からない

投稿しようとした瞬間に、アカウント名が分からない、ハッシュタグが決まっていない、場所(ロケーション)が登録されていない。この3つが揃っていないと、投稿されても自社にたどり着かず、探すことすらできません。UGCは「起きたかどうか」ではなく「見つけられるかどうか」で数が決まります

3

投稿しても反応がない

タグ付けして投稿したのに、店側が何の反応もしない。これが続くと、次から投稿されなくなります。逆に、ストーリーズで紹介する、コメントを返すといった反応が返ってくる店舗では、投稿が連鎖します。反応は最も安上がりで、最も効く施策です。

UGCの本数は、来店数ではなく「投稿しやすさ」に比例します。月に何人来ているかより、来た人の何割が投稿の導線に触れたかを見てください。触れていなければ、母数を増やしても本数は増えません。

投稿を増やす5つの仕掛け

現場で実行できる順に並べています。1から順に埋めるだけで、本数は目に見えて変わります。

  1. アカウント名とハッシュタグを、目に入る場所に置く:メニュー、卓上、レジ横、商品の同梱物、施術後の説明シート。「見えるところ」ではなく「スマホを持っている瞬間に視界に入るところ」に置きます
  2. 撮影OKであることを明示する:撮っていいのか分からない場所では、人は撮りません。「撮影・投稿歓迎」の一言があるだけで心理的な障壁が下がります
  3. 1枚で完結する見せ場を作る:提供時の一瞬、開封時の状態、施術後の比較。スマホで1枚撮れば成立する場面を、体験の中に意図して作ります
  4. タグ付き投稿には必ず反応する:ストーリーズでの再シェア、コメント返し。当日中が理想で、遅くとも翌営業日までに行います
  5. スタッフに「お願いする文言」を統一しておく:人によって言ったり言わなかったりするのが、最も本数がぶれる要因です。誰が対応しても同じ一言が出る状態にします

4つ目の「再シェア」も、厳密には他人の著作物を使う行為です。プラットフォームの機能を使ったシェアは各サービスの規約の範囲内で行えますが、投稿を保存して自社のフィード投稿や広告として使い回すのは別の話になります。次章の許諾の話は、必ず通してください。

投稿の企画そのものが続かない場合は、SNS投稿のネタ切れを防ぐコンテンツ設計|投稿の型・ネタ源・年間カレンダーの作り方もあわせて参照してください。

集まったUGCを自社で使うときの許諾

ここが最も見落とされる部分です。お客様が投稿した写真や動画の著作権は、撮影した本人にあります。著作権法上、他人の著作物を複製したり、インターネット上で送信可能な状態に置いたりするには、原則として権利者の許諾が必要です(出典:著作権法|日本法令外国語訳データベースシステム(法務省))。「自社を写した投稿だから自由に使える」ということにはなりません。

許諾を取るときに決める4項目

決めること具体例決めていないと起きること
使う範囲Instagramの自社フィードのみ/SNS全般/自社サイト/広告クリエイティブSNSの許可のつもりが広告に使われ、トラブルになる
使う期間1年間/掲載終了まで/期限なし削除依頼が来たときに応じる義務があるか判断できない
加工の可否トリミングのみ可/文字入れ可/色調補正可加工した状態で掲載し、意図と違うと指摘される
クレジット表記アカウント名を併記する/しない表記漏れで関係が悪化する

実務的には、DMで「この投稿を弊社の◯◯で使わせていただけませんか。使用範囲は△△、期間は□□、加工は〜の範囲を想定しています」と具体的に送り、本人の返信をスクリーンショット等で保管するのが最も簡単です。定型文をあらかじめ用意しておけば、担当者が変わっても運用が揺れません。

写っている人にも別の権利があります。お客様の投稿に第三者やスタッフが写り込んでいる場合、撮影者の許諾だけでは足りないことがあります。人物が特定できる写真を広告等で使う場合は特に注意が必要です。個別の判断は弁護士等の専門家に確認してください。

素材そのものの調達や管理のフローはSNS運用の写真・動画素材はどう用意する?内製撮影・外注・ストック素材の使い分けと制作フローに整理しています。

対価を渡した瞬間に、ルールが変わる

投稿を増やしたくて「投稿してくれたらドリンク1杯無料」「割引します」といった特典を用意するのは、よくある打ち手です。ただしここを超えると、そのUGCは「お客様の自主的な感想」ではなく「事業者の表示」として扱われる可能性が出てきます。

景品表示法では、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示が指定されており、令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となっています(出典:令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。|消費者庁)。規制で責任を問われるのは投稿した人ではなく広告主である事業者側です。

やり方扱い実務での対応
特典なし。お客様が自発的に投稿純粋なUGC二次利用の許諾だけ取れば足りる
投稿を条件に割引・特典を提供事業者の関与があると見られる可能性投稿内にPR表記を入れてもらう運用にする
報酬を払って投稿を依頼明確に事業者の表示PR表記を必須とし、依頼時に書面で条件を明示する
投稿内容を指定・修正依頼する関与の度合いが上がる特典の有無にかかわらずPR表記を検討する

迷ったら表記する、が実務の落としどころです。PR表記を入れたことで成果が大きく落ちるケースは、当社が見ている範囲では多くありません。一方、表記が無かったことで後から問題になったときの損失は比較になりません。判断に迷う設計は、先に整理しておくことをお勧めします。

報酬を伴う依頼まで踏み込む場合の進め方はインフルエンサー起用・ギフティングの進め方|ステマ規制で広告主が負う責任と依頼前チェックリストに詳しくまとめています。

渋谷の炉端焼き店のInstagram投稿2枚と、その投稿の再生数・保存数をまとめた結果パネル
フィード3.1万PV/リール10.2万PV/総保存2197(渋谷炉端焼き店様のPR動画制作)。店内で「撮りたくなる一瞬」を設計したうえで動画を制作し、保存されて後から見返される形を狙いました。出典:LnX合同会社 支援実績(事例詳細はこちら

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UGCが生まれる導線設計から、許諾と表記の運用ルールまでご相談ください
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UGCの効果はどう測るか

UGCはフォロワー数に直接効く施策ではありません。見るべき指標は別にあります。

  • タグ付け・メンション投稿の月間本数:最も素直な指標。仕掛けを変えた前後で比較する
  • 指名検索・ハッシュタグ検索の件数:UGCが増えると、店名・商品名で調べる人が増える
  • プロフィールへの遷移数:タグ付き投稿からどれだけ自社アカウントに人が来ているか
  • 保存数:「あとで行く」の意思表示。来店型のビジネスではフォロー数より先行指標になりやすい
  • UGC由来の来店・問い合わせ:「どこで知りましたか」の選択肢に入れておく

最後の1つは、アンケートや予約フォームに1行足すだけで取れます。SNSの効果測定で最も確実なのは、結局のところ来店時・問い合わせ時に本人に聞くことです。プロフィールからの導線設計はInstagramから問い合わせにつなげる導線設計|プロフィール・ハイライト・DMの整え方を参照してください。

運用ルールのチェックリスト

UGC運用を始める前に決めておくこと

集める仕組み

  • アカウント名・ハッシュタグ・ロケーションの3点が現場で見える状態か
  • 撮影・投稿歓迎であることを明示しているか
  • スタッフが声をかける文言を統一しているか
  • タグ付き投稿への反応を、誰がいつまでに行うか決めたか

使うときのルール

  • 二次利用の許諾を取る定型文を用意しているか
  • 使う範囲・期間・加工可否・クレジット表記の4項目を必ず伝えているか
  • 許諾のやり取りを記録として保管する場所を決めたか
  • 第三者が写り込んでいる投稿の扱いを決めたか
  • 削除依頼が来たときの対応手順を決めたか

表示のルール

  • 特典・報酬を伴う投稿にPR表記を求める運用になっているか
  • 投稿内容の指定・修正依頼をどこまで行うかを社内で線引きしたか
  • 効果を測る指標と、確認の頻度を決めたか

LnXの見解

UGCは「良いものを提供していれば自然に増える」と言われがちですが、実務ではそうなりません。増えている店舗は、ほぼ例外なく投稿する理由と、投稿先の指定と、投稿後の反応の3つを用意しています。逆に言えば、この3つは今日から無料で整えられます。

一方で、集まった投稿を自社の資産として使う段階になると、許諾と表示の話が必ず出てきます。ここを整理しないまま運用を広げると、本数が増えるほどリスクも積み上がります。最初に定型文とルールを1枚作っておけば、以降は現場で回せます。順番としては、増やす仕掛けとルール作りは同時に進めるのが安全です。

当社は、Instagramをはじめとする自社アカウントの運用支援で、投稿設計から現場の導線、許諾・表記の運用ルールまで含めてご支援しています。何から手を付けるべきか整理したい段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。

よくある質問

Q お客様の投稿を、そのまま自社アカウントで再投稿してもよいですか?

投稿された写真や動画の著作権は撮影した本人にあるため、保存して自社のフィード投稿や広告に使う場合は、本人の許諾が必要です。プラットフォーム内のシェア機能を使う場合は各サービスの規約の範囲で行えますが、範囲はサービスごとに異なります。許諾を取るときは、使う範囲・期間・加工の可否・クレジット表記の4点を具体的に伝えてください。

Q 投稿してくれた方に割引を提供するのは問題ありますか?

特典と引き換えに投稿を促す設計は、事業者の関与があると見られる可能性があります。景品表示法では、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難な表示が規制の対象とされており、責任を問われるのは投稿者ではなく広告主である事業者側です。特典を用意する場合は、投稿内にPR表記を入れてもらう運用にしておくのが安全です。

Q ハッシュタグは何個くらい用意すべきですか?

自社を特定できるものを1つ決めて、それを徹底するのが基本です。複数用意すると現場での案内が揺れ、投稿が分散して見つけられなくなります。キャンペーン単位で追加する場合も、常設のタグは変えないでください。

Q UGCが集まらない場合、まず何を直せばよいですか?

現場でアカウント名とハッシュタグが目に入る状態になっているかを確認してください。多くの場合、ここが抜けています。次に、タグ付き投稿への反応が行われているか。この2つを整えても増えない場合は、そもそも撮る対象(見せ場)が体験の中に無い可能性があります。

Q 集まったUGCを広告クリエイティブに使えますか?

本人から広告利用まで含めた許諾を得ていれば使えます。ただしSNS投稿への掲載を許可されただけでは広告利用の許諾には当たらないため、範囲を明示して改めて確認してください。第三者が写り込んでいる場合は追加の確認が必要になることがあります。

Q UGCの効果は何で判断すればよいですか?

タグ付け・メンション投稿の月間本数、ハッシュタグ・指名検索の件数、タグ付き投稿からのプロフィール遷移数、保存数の4つが基本です。加えて、予約フォームやアンケートに「どこで知りましたか」の項目を入れておくと、来店・問い合わせへの寄与が直接確認できます。

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