この記事でわかること

  • LP制作の発注先5種類と、それぞれが標準で持っている対応範囲
  • 金額差の正体である「依頼範囲」をどう切り分けるか
  • 広告を回す前提なら、発注先を何で決めるべきか
  • 契約時に必ず決める4項目(著作権・納品データ・修正回数・解約)
  • 個人・小規模事業者に発注するときに会社側が負う法律上の義務
  • 見積もりを比較するときに揃える6項目と、公開前の検収7項目

発注先は5種類ある。違うのは「品質」ではなく「標準の範囲」

LP制作を調べ始めると、数万円と書いてある会社と100万円超の会社が同じ検索結果に並びます。同じ「LP1本」で桁が違う理由は、多くの場合品質の差ではなく、標準でどこまで含まれるかの差です。発注先の種類ごとに、この範囲は最初からほぼ決まっています。

発注先標準で含まれることが多い範囲向いているケース
Web制作会社構成案・原稿・デザイン・実装。公開後の改善は別契約になりやすい社内に判断できる人がいない/体制ごと任せたい
広告代理店広告運用とセット。流入設計から逆算してLPを作る広告出稿が前提で、公開後も数値を見ながら直したい
フリーランス(個人)人によって大きく異なる。デザインのみの人から一気通貫の人まで依頼範囲が明確で、担当者と直接やり取りしたい
クラウドソーシングデザイン・実装が中心。構成案と原稿は自社で用意する前提原稿と素材が手元にあり、形にするだけでよい
社内で内製すべて自社。ノーコードツールで実装の負担は下げられる改善を高速で回したい/ノウハウを社内に残したい

費用のレンジは、クラウドソーシングの数万円から広告代理店の200万円規模まで開きます(出典:LP制作の依頼先はどこがいい?フリーランス・制作会社・クラウドソーシングを実額比較|StockSun株式会社LP制作の費用相場を徹底比較|依頼先の選び方と失敗しない見積のコツ|ディーエムソリューションズ)。価格帯ごとの内訳や広告費まで含めた総額の考え方はLP制作・改善の費用相場はいくら?依頼前に知るべきポイントに整理しているので、予算組みの段階ではそちらを参照してください。

相見積もりより先にやることは、自社で用意できるものの棚卸しです。構成案と原稿を書ける人が社内にいるかどうかだけで、必要な予算も選ぶべき発注先も変わります。ここが決まっていない状態で3社に声をかけても、返ってくる見積もりの前提が揃わず比較になりません。

依頼範囲の切り分けで、金額は3倍動く

発注先を横に並べたら、次は縦に切ります。同じ相手に頼んでも、任せる範囲が変われば金額は大きく動きます。見るべきは金額の列ではなく、「自社で用意するもの」の列です。

依頼する範囲自社で用意するもの成果物
デザインのみ構成案・原稿・写真素材・実装できる人デザインデータ(Figma/PSDなど)
デザイン+実装構成案・原稿・写真素材公開できる状態のLP一式
構成案・原稿込み商品情報・ターゲット・過去の広告データ調査・構成・原稿・デザイン・実装まで
公開後の改善まで広告の数値・問い合わせの中身上記+検証と改善の継続

安い依頼ほど、自社の作業が増えます。デザインのみの発注は、構成案と原稿を書ける人が社内にいて初めて成立する選択肢です。ここを見落とすと、安く発注したつもりが社内で誰も原稿を書けず、1か月止まっている間の広告費と機会損失のほうが価格差より大きくなるという結果になります。

「原稿は誰が書くのか」が決まっていない見積もりは、必ず後から膨らみます。提案を受けたら、まずこの1点を確認してください。構成案・原稿・写真素材のうちどれが含まれているかを社ごとに一覧にするだけで、比較の精度は大きく変わります。

広告を回すなら、「数値を見る人」との距離で決める

ここが、発注先選びでいちばん語られない論点です。LPは公開して終わりの制作物ではなく、広告の数値を見ながら直していく運用対象です。したがって「広告の管理画面を見ている人」と「LPを直せる人」が遠いほど、改善の速度は落ちます

実務では、次のような形で止まります。

  • 直す根拠が渡らない:広告側は「ファーストビューで落ちている」と分かっているのに、制作側には「CVRが低いので直してほしい」としか伝わらない
  • 修正が有償の追加発注になる:公開後の変更が契約範囲外のため、1行の文言変更にも見積もりと稟議が必要になる
  • 責任の所在が曖昧になる:成果が出ないときに、広告の問題かLPの問題かを誰も切り分けられない

発注先を分けること自体が悪いわけではありません。分けるなら、公開後の修正を誰が・どの費用感で・どのくらいの納期で行うかを、契約の時点で決めておく必要があります。ここを決めずに制作だけを切り出して発注するのが、最も改善が止まりやすいパターンです。広告とLPを一体で見る考え方は広告運用とLP改善はセットで考えるべき理由|成果を最大化する一体型運用にまとめています。

人材紹介会社のMETA広告新規立ち上げで使用したLPと配信クリエイティブを並べた図
LPと広告クリエイティブを同じ設計思想で組んだ例(人材紹介会社のMETA広告 新規立ち上げ)。訴求の順番をLPと配信面で揃え、広告側の数値を見ながらLPの文言を差し替えられる状態にしています。出典:LnX合同会社 支援実績(事例詳細はこちら

契約で必ず決める4項目

制作物を受け取ってから困る論点は、ほぼこの4つに集約されます。発注前に書面で取り交わしてください。

1

著作権を譲渡するのか、利用許諾で足りるのか

制作物の著作権は、原則として制作した側に発生します(出典:著作権法|日本法令外国語訳データベースシステム(法務省))。納品を受けただけでは権利は自社に移らないため、後からデザインを別媒体に流用したい、他社に引き継いで改修したいという場面で問題になります。

  • 譲渡か許諾かを明記する。許諾の場合は、使える範囲(媒体・期間・改変の可否)まで書く
  • 著作者人格権の取扱いについても触れておく。個別の条項の適法性や表現は弁護士等の専門家に確認してください
2

納品データに何を含めるか

公開できるHTML一式だけを受け取り、デザインの元データがない状態で担当者が変わると、バナー1枚の差し替えに作り直しに近い工数がかかります。Figmaのファイル、画像の元データ、フォントの指定、更新手順のメモまで納品物に含めるかを決めてください。

3

修正の回数と、どこからが追加費用か

「デザイン修正2回まで」といった条件は珍しくありません。問題は回数そのものより、何が1回にカウントされるかが曖昧なことです。文言の差し替えは軽微な修正か、構成の入れ替えは新規扱いか。判断の境目を先に決めておくと、公開後の運用まで見通せます。

4

途中解除・納期遅延が起きたときの取り決め

着手後にキャンセルした場合の精算、納期が遅れた場合の対応、成果物に不備があった場合の扱いを書いておきます。制作が止まったときに、それまでの成果物(構成案・デザイン途中稿)を引き取れるかどうかも決めておくと、別の相手に引き継ぐ判断ができます。

個人・小規模事業者に発注するときの、会社側の義務

制作会社への発注では意識しなかった論点が、個人や小規模の相手に発注した瞬間に発生します。ここは選択ではなく義務です。

フリーランス法(2024年11月1日施行)

従業員を使用しない個人事業者などに業務委託をする場合、発注側には取引条件を書面または電磁的方法で直ちに明示する義務と、給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で報酬支払期日を定め、その期日までに支払う義務があります。明示すべき事項には、業務の内容、報酬の額と支払期日、納品の期日と場所、検査を行う場合の検査完了期日などが含まれます(出典:フリーランス法がわかる特設サイト|公正取引委員会)。

チャットの口頭合意だけで進めないでください。条件を書いた1通のメールを最初に送るだけで、法律上の明示義務も、後の「言った・言わない」もほぼ回避できます。「検収完了の翌々月末払い」のような社内ルールが60日を超えていないかも、あわせて確認しておいてください。

取適法(2026年1月1日施行)

従来の下請法は、2026年1月1日から中小受託取引適正化法(通称:取適法)として施行されています。改正にあたり、書面交付義務における電磁的方法の扱いや、規制対象・対象取引の範囲が見直されました(出典:取適法|公正取引委員会)。LP制作の外注も、条件によっては適用対象になります。自社の取引が対象に当たるかどうかは、公正取引委員会の解説資料で確認したうえで、必要なら顧問弁護士に確認してください。

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見積もりを比較するときに揃える6項目

総額だけを並べても比較にはなりません。次の6項目が含まれているかを、社ごとに○×で埋めてください。同じ30万円でも、原稿が入っているかどうかで実質的な価格はまったく違います。

  1. 構成案:訴求の順番を誰が設計するか。ヒアリングだけで構成案が出てこないケースもある
  2. 原稿:本文コピーの執筆が含まれるか。「原稿支給」の前提になっていないか
  3. 写真・動画素材:撮影が必要か、ストック素材の購入費が別途か
  4. 実装:公開できる状態まで含むか。サーバー設置や独自ドメインの設定は誰がやるか
  5. 計測タグの設置:GA4・広告のコンバージョンタグの設置と発火テストが含まれるか
  6. 公開後の修正:何回まで、いつまで、どの範囲が無償か

この6項目に加えて、各社に渡す情報も揃えてください。目的とコンバージョン、原稿の担当、素材の有無、計測要件、公開希望日の5点を同じ文面で渡せば、2〜3社でも十分に比較できます。社数を増やすより、前提を揃えるほうが効きます。

実績の見方は「本数」ではなく「どの工程を担当したか」

ポートフォリオに並んだ制作物は、その人・その会社が全工程を担当したとは限りません。構成から入ったのか、デザインだけか、コーディングだけかで、期待できることは変わります。面談では次の3つを聞くのが効率的です。

  • この実績で、御社(あなた)はどの工程を担当しましたか
  • 公開後、数値はどう動きましたか。改善は誰が担当しましたか
  • 弊社の商材だと、どこが訴求の軸になりそうですか

3つ目でその場に仮説を返せる相手は、事前に調べています。一般論しか返ってこない相手に構成から任せるのは避けたほうが無難です。

公開前の検収7項目

見た目だけ確認して公開してしまうと、あとから直すのに追加費用がかかります。次の7点は、公開ボタンを押す前に必ず通してください。

納品されたLPを公開する前に

表示・動作

  • スマホ・タブレット・PCの3サイズで表示崩れがないか(特にスマホの横幅で文字がはみ出していないか)
  • フォームを実際に送信し、自社側と送信者側の両方にメールが届くか
  • すべてのボタン・リンクの遷移先。特にフォームと電話番号のリンク切れ
  • 画像が圧縮されているか。スマホで開いて主要部分が数秒以内に出るか

計測・内容

  • GA4と広告のコンバージョンタグが入っているか。テスト送信で実際に計測されるか
  • 価格・実績・保証内容などが最新か。景品表示法に触れる表現がないか
  • デザインの元データと、更新に必要なファイル一式を受け取っているか

計測が入っていないLPは、成果が出たかどうかを判断できません。改善の議論そのものが成立しなくなるため、検収の中で最も優先度が高い項目です。検収の日程は公開予定日から逆算し、最低でも3営業日は空けてください。当日確認・当日公開では、不具合が見つかっても直す時間がありません。確認する担当者も、納品前に決めておきます。

計測タグの設計そのものを整理したい場合はGA4のイベント設計はどう決める?中小企業のための計測設計書の作り方を参照してください。

公開後の改善を誰が持つかを、発注時に決める

LPは公開してからが本番です。ところが制作契約の多くは「公開まで」が標準範囲で、成果が出なかったときに動ける人が契約上どこにもいない、という状態が生まれます。次の3つを発注時に決めておいてください。

決めること決めていないと起きること実務での落としどころ
改善の判断は誰がするか数値は取れているが、何を直すかを決める人がいない広告の数値を見ている担当を決め、月1回の見直しを定例に入れる
修正の実作業は誰がやるか1行の文言変更にも見積もりと稟議が必要になる軽微な修正を自社で行える形(更新手順の引き渡し)か、月額の保守枠を確保する
いつまでに直すか広告を止めるか、成果の悪いまま配信し続けるかの二択になる初回の見直しを公開から2〜4週間後に設定しておく

最初の1本を外注して型を受け取り、2本目以降を内製に切り替えるという進め方も現実的です。訴求別・ターゲット別にLPを増やすかどうかの判断はLPは1枚で足りる?訴求別・ターゲット別にLPを分ける判断基準と運用設計にまとめています。

発注前チェックリスト

声をかける前に固めておくこと

前提の整理

  • LPで達成したいこと(問い合わせ/資料請求/購入)を1つに絞ったか
  • 構成案と原稿を社内で書けるかどうかを確認したか
  • 使える素材(ロゴ・写真・お客様の声・実績データ)を棚卸ししたか
  • 参考にしたいLPを2〜3本用意したか
  • 予算の上限と公開希望日を伝えられる状態か

社内体制

  • 最終的にOKを出す決裁者を、初回ヒアリングから同席させられるか
  • 検収を担当する人と、確認に使える営業日数を決めたか
  • 公開後にLPを直す担当と、その予算を決めたか

契約・法務

  • 著作権の譲渡/許諾の別を、見積もり段階で確認したか
  • 納品データに元データが含まれるかを確認したか
  • 個人に発注する場合、取引条件を書面か電磁的方法で明示する準備があるか
  • 支払期日が受領日から60日以内に収まる社内ルールになっているか

LnXの見解

LP制作の相談を受けたとき、最初に確認するのは金額ではなく「このLPを、公開後に誰が直すのか」です。ここが決まっている会社は、どこに発注しても大きく外しません。決まっていない会社は、どれだけ良い制作会社に頼んでも、公開の翌月には手が止まります。

もうひとつは、原稿の担当です。デザインが綺麗なのに問い合わせが来ないLPの大半は、デザインではなく文章で負けています。見込み顧客はレイアウトではなく、書いてある中身を読んで判断します。安く見える見積もりは、たいてい原稿が範囲外で、その分の作業が社内に戻ってきているだけです。

当社は、LPを広告配信の一部として設計しています。配信面ごとに訴求の順番を変え、数値を見ながらファーストビューを差し替える、という前提でページを組むため、制作と運用の間で情報が落ちません。広告の配信からLPの制作・改善まで、まとめてご相談いただけます。

よくある質問

Q LP制作は制作会社とフリーランスのどちらに頼むべきですか?

依頼範囲が固まっていて、担当者と直接やり取りしたいならフリーランス、範囲が固まっておらず複数人の体制が必要ならば制作会社が向きます。判断に迷う場合は「構成案と原稿を書ける人が社内にいるか」で分けてください。書ける人がいないなら、原稿まで含めて受けられる相手を選ぶことになり、選択肢は自然に絞られます。

Q 広告を配信する予定があるなら、広告代理店にLPも頼むべきですか?

必須ではありませんが、公開後にLPを直す前提なら「広告の数値を見ている人」と「LPを直せる人」が近いほど改善は速く回ります。制作会社に頼む場合でも、公開後の修正を誰がどの費用で行うかを契約時に決めておけば同じ状態を作れます。決めていないケースが最も多く、そこで改善が止まります。

Q 納品されたLPの著作権は自社のものになりますか?

自動的には移りません。著作権は原則として制作した側に発生するため、譲渡を受けるのか、利用許諾で足りるのかを契約書に明記する必要があります。あわせて、デザインの元データや更新に必要なファイル一式を納品物に含めるかも書いておいてください。

Q 個人のフリーランスに発注するとき、会社側に法律上の義務はありますか?

あります。フリーランス法により、業務委託をしたら直ちに書面または電磁的方法で取引条件を明示する義務と、給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で報酬支払期日を定めて支払う義務が発注側に課されます。制作会社への発注では意識しなかった部分なので、初めて個人に発注する会社ほど抜けやすい箇所です。

Q 見積もりは何社から取ればよいですか?

社数よりも、渡す情報を全社で揃えることのほうが重要です。目的とコンバージョン、原稿を誰が書くか、素材の有無、計測要件、公開希望日の5点を同じ文面で渡せば、2〜3社でも比較できます。前提が揃っていない見積もりは、何社集めても金額の高低しか分かりません。

Q 納品されたLPは何を確認してから公開すればよいですか?

スマホでの表示崩れ、フォームの実送信、計測タグの発火、表示速度、価格や実績など原稿の事実確認、リンク切れ、納品データの受領の7点です。特に計測タグが入っていないと、公開後に成果を判断できず改善の議論そのものが成立しません。検収には公開予定日から最低3営業日の余裕を取ってください。

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