この記事でわかること

  • キーワード選定で記事の成否がほぼ決まる理由
  • キーワードを集める4つの手段と、集めたあとの分類方法
  • 検索ボリュームをどう読むか(小さい数字を捨ててはいけない理由)
  • 「勝てるキーワードか」を発注前に見抜く判断軸
  • 優先順位を数字で決める簡易スコアリングの作り方
  • AI検索に拾わせるために足す「質問形クエリ」の扱い

記事の成否は書く前に決まっている

オウンドメディアの相談を受けたとき、最初に見るのは記事の文章ではなくキーワードの一覧です。文章の質でどうにかなる範囲は思ったより狭く、そもそも狙う相手を間違えた記事は、どれだけ丁寧に書いても事業の数字に届きません

選定を間違えると、次のいずれかの形で失敗します。

  • 順位は付くが売上に関係ない:検索した人が自社の顧客になり得ない
  • 需要はあるが手が届かない:大手メディアと真正面からぶつかっている
  • そもそも誰も検索していない:社内用語や商品名だけで組んでしまっている
  • 記事同士が食い合う:似たキーワードで複数本を書き、どれも中途半端になる

逆に言えば、選定の段階で潰せる失敗が大半です。ここに時間を使うのが最も費用対効果が高い工程になります。

選定の6ステップ

全体像は次のとおりです。上から順に進めます。

順序やることアウトプット目安工数
ゴールと読者を決める獲得したい問い合わせの定義1時間
キーワードを集める候補リスト(300〜1,000語)2〜3時間
検索意図で分類する4分類に振り分けたリスト2〜3時間
ボリュームと難易度を付ける数値の入ったリスト2時間
スコアで優先順位を決める着手順の決まった一覧1〜2時間
記事に割り当てるキーワードマップ2時間

初回は丸1日から2日かかります。ただしこれは一度作れば半年から1年は使える資産になるため、記事を書き始める前に必ず通してください。

先に決めるのはキーワードではなく「問い合わせの定義」です。「資料請求が月5件」なのか「相談予約が月2件」なのかで、狙うべき検索段階が変わります。ここが曖昧なまま集め始めると、あとで並べ替える基準がなくなります。

② キーワードを集める

集める段階では絞り込みません。関係がありそうなものを機械的に広げます。手段は4つあります。

1

サジェスト・関連検索から広げる

主要な単語をGoogleに入力し、サジェストと「他の人はこちらも検索」を拾います。無料のサジェスト取得ツールを使うと一括で取れます。ここで取れるのは実際に検索されている語なので、優先度の高い一次情報です。

2

Search Consoleの既存クエリを掘る

すでにサイトがある場合、最も精度が高いのがここです。検索パフォーマンスで表示回数はあるのにクリックが少ないクエリ、掲載順位が11〜20位のクエリを抽出します。すでに評価されかけている語なので、新規に狙う語より短期で結果が出ます。

3

競合サイトの見出しを読む

同じ商材を扱う会社のコラム一覧を開き、記事タイトルとh2をそのまま書き出します。相手が時間をかけて選定した結果が並んでいるため、候補の質が高くなります。ただし丸ごと真似ると同じ土俵で殴り合うだけなので、あくまで候補集めに留めます。

4

営業・カスタマーサポートに聞く

実際の商談で出た質問、問い合わせフォームに書かれた文章を集めます。ツールでは取れない語がここから出ます。検索ボリュームがゼロと表示される語でも、商談化率が高いことが珍しくありません

4つを合わせて数百語になれば十分です。重複を消して一覧にします。

③ 検索意図で分類する

集めた語を、検索した人が何をしたいのかで4つに分けます。分類の目的は「記事の形を決めること」と「事業への近さを測ること」です。

分類語の例記事の形事業への近さ
知りたい(情報型)「〇〇とは」「〇〇 やり方」解説・手順遠い
比べたい(比較型)「〇〇 比較」「〇〇 おすすめ」比較表・選び方
頼みたい(取引型)「〇〇 代行」「〇〇 費用」費用・依頼先の解説近い
指名(指名型)「社名」「サービス名 評判」会社・実績ページ最も近い

この分類でよくある誤解が、「事業に近い語だけを書けばいい」というものです。取引型の語は検索数が少なく、数本書けば枯れます。情報型で母数を作り、比較型で検討に引き上げ、取引型で受け止める構成にしないと、記事の本数が積み上がりません。

分類は必ず実際の検索結果を見て決めてください。語の見た目から想像すると外します。たとえば「〇〇 費用」で検索したとき、上位が相場解説の記事ばかりなら、それは取引型ではなく情報型として扱うべき語です。

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④ 検索ボリュームの読み方

ボリュームはキーワードプランナーなどで取得します。ここで押さえておきたいのは、数字の大小をそのまま優先度に読み替えないことです。

  • 月間10〜100の語を捨てない:中小企業のBtoBでは、この帯に商談につながる語が集中します
  • ツールの表示は目安:広告アカウントの状態によって粗い区間表示になることがあります
  • 0表示でも需要はある:実際の商談で出た質問なら、書く価値があります

判断の基準は「月に何人が読むか」ではなく、「その語で来た人のうち何人が問い合わせるか」です。月間10回の検索でも、3人に1人が問い合わせる語なら、月間1,000回で誰も問い合わせない語より価値があります。

⑤ 「勝てるか」を判断する

需要があっても、上位が固まっている領域では新規サイトは入れません。着手前に次を確認します。

上位10件を開いて確認すること

構成の確認

  • 公的機関・大手メディア・比較ポータルで埋まっていないか
  • 上位が広告出稿でも埋まっていないか(オーガニックの面積が残っているか)
  • 同規模の事業会社が1社でも入っているか

中身の確認

  • 上位記事が持っていない一次情報を、自社は出せるか
  • 自社に実務経験・事例・数字があるテーマか
  • 上位記事の情報が古くなっていないか(制度変更・仕様変更の有無)

「同規模の事業会社が1社も入っていない」領域は、後回しにするのが無難です。逆に、上位記事の情報が古い領域は、公開直後から動くことが多いので優先度を上げます。

自社が一次情報を出せるかどうかは、E-E-A-Tの観点でも効いてきます。この点はE-E-A-Tはどう実装する?で詳しく整理しています。

⑥ スコアで優先順位を決める

感覚で並べると、書きやすい記事から手を付けることになります。3つの軸に点数を振り、掛け合わせて機械的に並べてください。

3点2点1点
事業への近さ取引型・比較型情報型(検討層)情報型(初心者層)
勝てる見込み上位に同規模が複数1社は入っている大手・公的機関のみ
書ける度実務経験・事例あり調べれば書ける一次情報が取れない

3つを掛け算し(最大27点)、点数順に並べます。同点が並んだときだけ、検索ボリュームで順序を決めます。

最初の10本は「27点〜18点」の範囲だけで組んでください。点数の低い語は、サイトの評価が付いてからのほうが結果が出ます。順番を守るだけで、同じ本数でも成果の出方が変わります。

生成AIやAI Overviewsを経由する流入が無視できなくなり、検索の入力が単語の羅列から文章に寄ってきています。ここへの対応は、キーワード選定をやり直すのではなく、選定済みの語に質問形を紐づける形が現実的です。

  1. 優先度の高いキーワードを10〜20語選ぶ
  2. 各語について、見込み客が生成AIに投げそうな質問文を3つずつ書き出す(例:「中小企業がSEO会社を選ぶときの判断基準は」)
  3. その質問文を、記事内のh2・h3・FAQの文言に反映する

質問文をそのまま見出しにすると、AIが回答を組み立てる際に該当箇所を切り出しやすくなります。あわせて構造化データを実装しておくと、意図した単位で読まれやすくなります。実装方法はAIに正しく読ませる構造化データの実装にまとめています。

質問形だけに寄せるのは早すぎます。検索エンジン経由の流入はまだ大きく、単語ベースの検索もなくなっていません。既存の選定を土台に、質問形を上乗せする順番を守ってください。

キーワードマップに落とす

最後に、キーワードと記事を1対1で対応させます。ここを飛ばすと、似た語で複数本書いてしまい、記事同士が食い合います。

  • 1記事=1メインキーワード:サブキーワードは3〜5語まで
  • 同じ検索意図の語は1本にまとめる:「費用」「料金」「相場」は分けない
  • 親子関係を先に決める:まとめ記事と個別記事を分け、内部リンクの方向を決めておく

親子関係の組み方は内部リンクはどう設計する?で解説しています。マップができた時点で、既存記事の書き換えで足りるものと、新規で書くべきものが分かれます。既存記事側の判断は記事リライトの優先順位を参照してください。

よくある3つの失敗

  1. ボリュームの大きい語から着手する:最も競合が強い場所から始めることになり、半年経っても順位が付きません。事業への近さと勝てる見込みを先に見てください
  2. 選定を外注に丸投げする:営業現場の言葉が入らないため、綺麗だが商談につながらないリストになります。候補集めの一部は必ず社内で担ってください
  3. 一度作って更新しない:制度変更や競合の参入で状況は変わります。四半期に一度、Search Consoleの実績を見て並べ替えてください

LnXの見解

キーワード選定は、AIに任せやすい工程だと思われがちです。実際に候補の洗い出しと分類はAIで大幅に短縮できます。ただし、「この語で来た人が自社の顧客になるか」の判断だけは、事業を知っている人間が持っていないと精度が出ません。ここを外すと、量産しても数字が動かない状態になります。

LnXでは自社のオウンドメディアで、記事の構成設計から作成・入稿、SEOレポートまでをAIの定常タスクとして実装し、約3ヶ月で113記事を運用してきました。その結果として、生成AIからのインプレッションは約7倍、ページ表示回数は約7倍、問い合わせは約15倍、AIOスコアは91点という数字を得ています。この過程で分かったのは、作業をAIに寄せるほど、選定と判断の質がそのまま成果に出るということでした。

LnX自社オウンドメディアの記事一覧画面と、113記事・ページ表示回数約7倍・問い合わせ約15倍を示す数値パネルおよび表示回数の推移グラフ
約3ヶ月で113記事を入稿/ページ表示回数 約7倍/問い合わせ 約15倍。(LnX自社オウンドメディア「Web集客の実務ノウハウ」・2026年6月〜)記事構成の設計から本文生成・HTML入稿・内部リンク・sitemap.xml/llms.txtの更新までをAIの日次タスクとして定義し、キーワード選定と記事の狙い・一次情報の判断は人が担当しています。出典:LnX合同会社 支援実績(事例詳細はこちら

記事を増やしているのに問い合わせが増えていないなら、原因は文章ではなくキーワードの一覧にある可能性が高いと考えています。何を書くかの判断と、書き続ける仕組みの両方をご相談いただけます。

よくある質問

Q キーワード選定にはどのくらい時間をかけるべきですか?

初回は1〜2日を見込んでください。記事を10本書く前に丸1日使うほうが、結果的に短期間で成果が出ます。一度作れば半年から1年は使えるため、記事1本あたりに換算すると小さな工数です。以降は四半期に一度、Search Consoleの実績を見て並べ替える運用で足ります。

Q 検索ボリュームが0の語は書かないほうがよいですか?

商談や問い合わせで実際に出た質問であれば、書く価値があります。ツールの数値は広告出稿データに基づく推計で、少数の語は0や区間表示になることがあります。中小企業のBtoBでは、月間10〜100程度の語に商談につながる検索が集中する傾向があります。

Q 1記事にキーワードは何語まで入れてよいですか?

メインキーワードは1語、サブキーワードは3〜5語までを目安にしてください。それ以上詰め込むと、記事の主題がぼやけて検索意図とずれます。入りきらない語は別記事に分け、内部リンクでつなぐほうが結果が出ます。

Q 競合が強い語は完全に避けるべきですか?

最初の10本では避けてください。ただし完全に捨てる必要はありません。サイトの評価が積み上がってから、関連する記事を複数本そろえた状態で改めて挑むほうが順位が付きやすくなります。着手順の問題であって、対象外という意味ではありません。

Q AI検索を意識すると、従来のキーワード選定は不要になりますか?

不要にはなりません。検索エンジン経由の流入は依然として大きく、単語ベースの検索も残っています。実務では、従来どおり選定したキーワードに対して、見込み客が生成AIに投げそうな質問文を紐づけ、見出しやFAQに反映する上乗せの形が扱いやすくなります。

Q キーワード選定をAIに任せてもよいですか?

候補の洗い出しと検索意図の分類までは、AIを使って大幅に短縮できます。一方で「その語で来た人が自社の顧客になるか」の判断は、事業と商談の実態を知っている人が担う必要があります。ここを外すと、記事を増やしても問い合わせが増えない状態になります。

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