この記事でわかること

  • LPの訴求で問題になりやすい2つの不当表示
  • 「効果があります」と書く前に用意しておくべき根拠資料
  • 小さい注釈(打消し表示)がどこまで有効か
  • お客様の声・ビフォーアフターの扱いで注意すべき点
  • No.1表示・ランキング表示に必要な調査の条件
  • 公開前チェックを運用に組み込む手順

本記事は広告運用の実務者向けに一般的な考え方を整理したものであり、法的な助言ではありません。個別の表現が適法かどうかの判断や、業種特有の規制への対応については、必ず弁護士等の専門家にご確認ください。

LPは「作った人以外が見ていない」ことが多い

広告のクリック先として作るLPは、制作会社と広告担当者だけで完結しがちです。パンフレットや会社案内なら通る社内チェックが、LPだけ抜けているという状態を実務でよく見ます。

そのまま配信して起きるのは、次の2種類の問題です。

  • 媒体審査で止まる:広告プラットフォームの審査に落ち、配信が始まらない/途中で停止する
  • 行政対応になる:景品表示法上の不当表示として、措置命令や課徴金納付命令の対象になり得る

前者は差し戻しで済みますが、後者は公表を伴うため事業への影響が大きくなります。表示の責任を負うのは、制作会社ではなく商品・サービスを供給する広告主です。ここを前提に、社内でチェックできる状態を作っておく必要があります。

LPで問題になりやすい2つの不当表示

景品表示法が禁じる不当表示のうち、LPで論点になるのは主に次の2つです。

種類何が問題かLPでの典型例
優良誤認表示品質・内容が実際より著しく優れていると見せる裏付けのない「効果◯%アップ」「業界唯一」
有利誤認表示価格・取引条件が実際より著しく有利だと見せる実態のない参考価格からの値引き表示

どちらも判断の基準は「一般の消費者がどう受け取るか」であり、書き手に誤解させる意図があったかどうかは問われません。社内では正確なつもりの表現でも、前提を知らない読み手が過大に受け取る書き方になっていれば問題になり得ます。

なお令和5年の法改正により、2024年10月1日から確約手続が導入され、優良誤認・有利誤認に対する直罰規定(罰金)も新設されています。課徴金についても、過去10年以内に課徴金納付命令を受けた事業者は算定率が引き上げられる仕組みになりました。制度としては、以前より厳しくなっている方向です。

根拠資料は「書く前」に用意する

効果や性能を訴求する表示については、消費者庁が期限を定めてその裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、提出されない場合や合理的な根拠と認められない場合には、不当表示とみなして扱われる仕組みがあります。提出期限は短く設定されるため、指摘を受けてから資料を集め始めるのでは間に合いません

数値・効果を書くなら、公開前に揃えておくもの

数値の出どころ

  • 誰が、いつ、何件を対象に計測したか
  • 計測条件(期間・対象・除外したデータ)が書面で残っているか
  • 平均値なのか最大値なのか、LPの表現と一致しているか

外部データを使う場合

  • 出典元・調査年を明記しているか
  • 自社商材に当てはめられる調査か(対象・条件が近いか)
  • 引用元の結論を、都合よく切り取っていないか

実務では「数値を書く欄の隣に、根拠資料のファイル名を書く欄」を作るのが最も確実です。根拠が書けない数値は、そもそもLPに載せない。この運用にしておくと、担当者が代わっても水準が落ちません。

打消し表示はどこまで有効か

大きな文字で強く訴求し、小さな注釈で条件を補う書き方(打消し表示)は、LPで多用されます。消費者庁は実態調査を踏まえ、打消し表示が適切かどうかは文字の大きさ・配置箇所・色などから総合的に判断されるという考え方を示しています。

実務上、次のような状態は避けてください。

  • 本文から遠い:強調表示はファーストビュー、注釈はページ最下部にある
  • 読めない:背景と同系色、極端に小さい文字
  • スマホで見ていない:PCでは並んで見えるが、スマホでは数スクロール離れる
  • 注釈が強調を打ち消しきれていない:強調表示を読んだ人の理解を、注釈が実質的に修正できていない

特に4つ目が重要です。注釈を付ければ何を書いてもよいわけではなく、強調表示自体が実態から離れていれば、注釈があっても問題になり得ます。スマホでの見え方の確認は、そのままLP改善の作業にもなります。ファーストビューの整え方はLPのファーストビューで離脱される原因と改善手順を参照してください。

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体験談・お客様の声

LPで最も使われ、最も扱いが難しいのが体験談です。消費者庁の実態調査では、実際には効果を得られない人が相当数いるにもかかわらず体験談が表示された場合、打消し表示が明瞭であっても、一般の消費者は大体の人が効果を得られるという認識を抱くと考えられるため、景品表示法上問題となるおそれがあるという整理が示されています。

つまり「個人の感想です。効果には個人差があります」と書いておけば足りる、という理解は誤りです。個人差に関する表示を使う場合は、調査の被験者数や属性、同様の効果が得られた人・得られなかった人の割合などを明瞭に示すべきとされています。

実務での現実解は、効果の程度を語る体験談を主役に置かないことです。「どんな課題で相談し、どういう進め方をしたか」という事実ベースの声に寄せると、リスクを抑えつつ信頼性は保てます。声の集め方と見せ方はLPの信頼性要素はどう作る?にまとめています。

No.1表示・ランキング表示

「顧客満足度No.1」「利用者数No.1」といった表示は、根拠が乏しいまま使われている例が多く、消費者庁が2024年9月に実態調査報告書を公表し、考え方を示しています。

調査結果が合理的な根拠と認められるためには、次の点を満たす必要があるとされています。

  1. 比較対象となる商品・サービスが適切に選定されていること
  2. 調査対象者が適切に選定されていること
  3. 調査が公平な方法で実施されていること
  4. 表示内容と調査結果が適切に対応していること

ここで注意が必要なのは、調査会社が実施した調査であっても、表示についての景品表示法上の責任は広告主が負うという点です。「調査会社から提供された素材だから」は理由になりません。No.1表示を使うなら、上の4点を自社で確認できる資料を必ず受け取ってください。

価格の見せ方

有利誤認の論点は、多くが価格表示です。LPで頻出するのは次の3つです。

表示確認すること
「通常◯円→今なら◯円」比較対照とした価格が、実際に相当期間販売された実績のある価格か
「今だけ」「期間限定」期限後に本当に終了しているか(延長を繰り返していないか)
「月々◯円〜」その金額で契約できる条件が、同じ画面内で明確に分かるか

特に2つ目は、広告運用の現場で無意識に発生しがちです。キャンペーンの期限を都度更新して恒常的に「限定」と表示している状態は、実態と表示が食い違います。期限の管理を運用フローに入れておいてください。

ステマ規制と広告主の責任

2023年10月1日から、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難な表示が、景品表示法上の不当表示として規制されています。措置命令の対象になり、責任を負うのは表示を行わせた広告主側です。

LPに関係するのは、インフルエンサーや第三者に書いてもらった記事を、広告であることを示さずに掲載しているケースです。記事LP(アドバトリアル)の形式を取る場合は、広告であることが明確に分かる表示を入れてください。形式ごとの考え方は記事LP(アドバトリアル)は使うべき?インフルエンサー起用・ギフティングの進め方で整理しています。

業種によっては別の規制がかかる

景品表示法はすべての業種に共通してかかりますが、業種によってはさらに個別の規制が上乗せされます。代表的なものは次のとおりです。

  • 医薬品・化粧品・健康食品など:医薬品医療機器等法(薬機法)による広告規制
  • 医療機関:医療広告ガイドラインによる規制(体験談・ビフォーアフター写真の扱いが厳しい)
  • 金融商品:金融商品取引法などによる表示規制
  • 人材・求人:職業安定法に基づく募集条件の明示

これらは本記事の範囲を超えるため、該当する業種のLPを作る場合は、制作に入る前に所管のガイドラインを確認するか、専門家に相談してください。あとから表現を直すと、訴求の骨格ごと作り直しになることがあります。

公開前チェックを運用に組み込む

チェックは、担当者の記憶ではなく手順として残してください。最小構成は次の4ステップです。

  1. 数値・効果の棚卸し:LP内の数値をすべて抜き出し、根拠資料と1対1で紐づける
  2. 強調と注釈の対応確認:スマホ実機で、強調表示と注釈が同一画面内に収まっているか見る
  3. 第三者の目を通す:制作に関わっていない社内の人が読み、過大に受け取る箇所を指摘する
  4. 期限の管理表を作る:「期間限定」表示の終了日を一覧にして、運用カレンダーに載せる

所要時間はLP1本あたり1時間前後です。差し戻しや配信停止で失う時間を考えれば、十分に見合います。

LnXの見解

広告運用の現場では、法規制の話が「攻めた訴求ができなくなる」という文脈で語られがちです。実際に見てきた範囲では逆で、根拠を持たない強い言葉に頼っているLPほど、数字も安定していません。裏付けのない数値は具体性が薄く、読み手にも見抜かれるためです。

根拠のある数値、事実ベースの導入事例、条件が明示された価格。この3つで組んだLPは、審査で止まらず、配信も落ち着きます。訴求の強さは表現の派手さではなく、誰に向けて何を言うかの精度で作るほうが、結果として広告の成果にも直結します。

LnXでは広告の配信設定だけでなく、クリック先の訴求設計と、媒体審査を通す表現の調整まで含めてお引き受けしています。審査落ちが続いている、あるいはLPの表現に不安があるという状態でしたら、現状を見せていただければ論点を整理してお返しします。

よくある質問

Q 制作を外注したLPでも、責任は自社が負うのですか?

景品表示法上、表示についての責任を負うのは商品・サービスを供給する事業者、つまり広告主です。制作会社や調査会社が作った素材であっても、広告主が確認せずに使えば責任を免れる理由にはなりません。外注する場合こそ、根拠資料を受け取って社内で確認する手順が必要です。

Q 「効果には個人差があります」と書けば体験談を載せてよいですか?

それだけでは足りません。消費者庁の実態調査では、効果を得られない人が相当数いるにもかかわらず体験談が表示された場合、打消し表示が明瞭であっても一般の消費者は大体の人が効果を得られると受け取ると考えられ、問題となるおそれがあると整理されています。個人差に関する表示を使う場合は、被験者数や効果が得られた割合などを明瞭に示すべきとされています。

Q 注釈を小さく入れておけば、強い訴求を書いても大丈夫ですか?

大丈夫とは言えません。打消し表示が適切かどうかは、文字の大きさ・配置箇所・色などから総合的に判断されるとされています。加えて、強調表示自体が実態から離れている場合は、注釈があっても問題になり得ます。スマホ実機で、強調表示と注釈が同じ画面内で読める状態かを確認してください。

Q 調査会社から提供されたNo.1表示の素材なら、そのまま使えますか?

そのまま使うことは推奨できません。第三者が調査を行っていても、表示についての景品表示法上の責任は広告主が負います。比較対象・調査対象者の選定が適切か、調査方法が公平か、表示内容と調査結果が対応しているかを確認できる資料を受け取ってから使用してください。

Q 「期間限定」の表示を毎月延長しているのですが、問題になりますか?

表示と実態が食い違っている状態です。期限が来ても終了せず恒常的に「限定」と表示していれば、取引条件について実際より有利だと受け取られる可能性があります。キャンペーンの終了日を一覧管理し、運用フローの中で期限を扱うようにしてください。

Q チェックにはどのくらい時間をかけるべきですか?

LP1本あたり1時間前後が目安です。数値と根拠資料の紐づけ、スマホ実機での強調と注釈の確認、制作に関わっていない人による読み合わせ、期限の管理表への登録の4つを行います。媒体審査での差し戻しや配信停止で失う時間を考えれば、十分に見合う工数です。

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