この記事でわかること

  • 同じ「月20万円」でも中身がまったく違う理由と、見積もりが比較不能になる仕組み
  • 見積もりを出す会社の4タイプ(制作会社・記事作成代行・SEO会社・AIO専業)の違い
  • 支援範囲・本数・単価・成果指標・契約条件を揃えるための具体的な手順
  • AIO(LLMO)で成果指標をどう置くか。当社の実測値を基準にしたレンジの考え方
  • 提案書で警戒すべき5パターンと、そのまま使える比較シートの項目

3社から見積もりを取っても、そのままでは比較にならない

SEO・AIO対策やオウンドメディア運用代行の見積もりを3社から取ると、たいてい次のような並びになります。金額は近いのに、中身がまったく揃っていません。

A社 B社 C社
月額 18万円 25万円 20万円
記事本数 月8本 月4本 「必要に応じて」
初期費用 なし 30万円 15万円
含まれるもの 記事執筆のみ 戦略設計・執筆・入稿・月次レポート SEO順位改善の施策一式
AIO対応 記載なし 構造化データ実装を含む 「AI検索にも対応」

この状態で「A社がいちばん安い」と判断すると、あとから入稿費・画像制作費・レポート費が別途で乗ってきます。比較の本題は金額の大小ではなく、各社の見積もりを同じ定義に揃え直す作業です。ここを飛ばすと、契約後に「これは範囲外です」という会話を繰り返すことになります。

相場観としては、記事制作のみなら月5万〜15万円、戦略設計から入稿・改善まで含むと月15万〜50万円、AIO(LLMO)のコンサルティングを単体で入れると月30万円前後からというレンジが目安です。ただしこの数字だけを持って比較しても意味がありません。各社が「その金額で何をやるのか」の範囲が違うことこそが、比較を難しくしている原因だからです。

見積もりを出してくる会社は4タイプある

同じ問い合わせをしても、返ってくる提案の性質は会社のタイプで決まります。まず相手がどのタイプかを見分けると、提案の偏りが読めます。

1

記事作成代行・ライティング会社

執筆が主業務です。単価は1本2万〜6万円程度で、本数を出すのに向いています。一方でキーワード設計・内部リンク・構造化データの実装・効果測定は範囲外であることが多く、「書いてもらったが誰も読んでいない」という状態になりやすいタイプです。戦略が社内にあり、手が足りないだけの場合には最適解になります。

入稿・画像・レポートが別料金になっていないか必ず確認する
2

SEOコンサルティング会社

設計と改善提案が主業務です。キーワード設計、競合分析、内部施策の指示までは強い一方、実際に記事を書いて入稿する部分は自社または別会社という体制が多く、結局そこが詰まって進まないことがあります。提案書は精緻なのに更新が止まる、というパターンの典型です。

3

AIO・LLMO専業をうたう会社

ここ1〜2年で増えたタイプです。生成AIに引用されるための構造化対応やサイト監査を打ち出します。ただし「AIO対応」の中身は会社ごとにかなり違い、構造化データの実装まで含むのか、診断レポートを出すだけなのかで工数が数倍変わります。実装まで含むかどうかは、必ず見積もりの明細で確認してください。

「診断」なのか「実装」なのか、成果物の形式で切り分けて聞く
4

オウンドメディア運用代行(一気通貫型)

設計から執筆・入稿・改善・レポートまでを1社で担うタイプです。金額は上がりますが、「誰の担当か分からない作業」が発生しにくいのが利点です。逆に、支援範囲が広いぶん見積もりが一式表記になりがちで、何にいくら払っているかが見えにくくなります。内訳を出してもらってください。

自社サイトにまだ記事の置き場所(メディアの器)がない場合は、制作会社の領域が別途必要になります。「運用代行を頼めばサイトも作ってもらえる」と考えていると、初期費用の見積もりが大きくずれます。器があるのかないのかは、見積もり依頼の時点で伝えてください。

比較を同じ土俵に載せる5つの軸

各社の見積もりを、次の5軸に分解して書き直します。この作業をすると、金額の並びがまったく変わることがよくあります。

揃えるために聞くこと 揃わないと起きること
1. 支援範囲 キーワード設計/構成作成/執筆/画像/入稿/内部リンク/構造化データ/レポートのうち、どれが含まれるか 入稿費・画像費が後から加算される
2. 本数と定義 月◯本の「1本」は何文字・何時間相当か。リライトは本数に含むか 4,000字と12,000字が同じ「1本」として比較される
3. 初期費用の中身 初期構築に含まれるもの(診断/設計/テンプレート実装/構造化データ/llms.txt等) 初期費用ゼロの提案が実は割高になる
4. 成果指標 何をもって成果とするか。順位・表示回数・流入・問い合わせ・AI引用のどれを追うか 報告される数字が各社バラバラで、評価できない
5. 契約条件 最低契約期間/中間の判断ポイント/記事の著作権と解約後の扱い 解約時に記事を引き上げられる、内製移管できない

記事の著作権と、解約後の扱いは必ず聞く

意外に確認されないのがここです。納品された記事の著作権が代行会社に残る契約だと、解約時に記事の削除を求められる可能性があります。数十本を積み上げた資産が消えるのは、金額の差とは比較にならない損失です。「著作権は譲渡されるか」「解約後も掲載を継続できるか」の2点は、必ず書面で確認してください。

「記事1本」の定義を分解する

比較でいちばん誤解が生まれるのが本数です。「月8本・15万円」と「月4本・15万円」は、単価が2倍違うように見えて、実際には同じか逆転していることがあります。1本に含まれる工程を分解すると理由が見えます。

工程 含まれることが多い 別料金になりやすい
キーワード選定・検索意図の整理 コンサル型・一気通貫型 記事作成代行
構成案(見出し設計)の作成 ほぼ全タイプ
本文執筆 全タイプ
取材・一次情報の収集 ほぼ全タイプで別料金
図表・アイキャッチ画像の制作 一気通貫型の一部 多くの会社で別料金
CMSへの入稿・装飾 一気通貫型 記事作成代行・コンサル型
内部リンクの設計・貼り付け 一気通貫型 その他
構造化データ(JSON-LD)の付与 AIO対応をうたう場合 記載がなければ含まれない
sitemap.xml・llms.txtの更新 AIO対応をうたう場合 同上
公開後のリライト ほぼ全タイプで別枠

比較するときは「1本あたりの金額」ではなく「公開状態になった1記事あたりの総額」に直してください。執筆2万円+入稿5千円+画像1万円+構造化データ5千円なら、実質は4万円です。この形に揃え直すと、安く見えた見積もりが高くなることは珍しくありません。

リライトの扱いを決めておく

公開して終わりではなく、順位や表示回数の推移を見て直す工程が成果を左右します。ところが多くの見積もりでは、リライトが本数に含まれていません。「月8本」の内訳を「新規6本+リライト2本」に変えられるか、リライトを本数外で何本まで見るか。ここを契約前に決めておくと、半年後に手が止まりません。

成果指標の揃え方——AIOは何で測るのか

SEOなら順位・表示回数・流入で揃えられますが、AIO(LLMO)は各社が別々の指標を出してきます。比較検討の段階で「何を報告してもらうか」を先に決めて、各社に同じ形式で提案させるのが実務的です。

指標 見るもの いつ動くか
表示回数・平均掲載順位 検索エンジン側での可視性。Search Consoleで取得 3〜4ヶ月目から
生成AI経由の流入 ChatGPT・Gemini等からの参照。GA4のチャネルで確認 記事数が積み上がってから
生成AIインプレッション AIがユーザーに自社サイトを表示した回数の推移 同上
AI引用の有無 想定質問を投げて、自社が回答に出るかを目視で確認 定点観測。月次で記録する
構造化・技術要件の充足度 JSON-LD、FAQ、llms.txt、見出し構造の実装状況 実装直後に確認できる
問い合わせ数 最終的な事業成果。これが動かなければ意味がない 6ヶ月目以降が目安

参考:当社の自社メディアでの実測値

レンジ感を持つための材料として、当社(LnX合同会社)が自社のオウンドメディアで実際に出した数字を挙げます。クライアント支援ではなく自社での実証なので、条件を全部開示できます。

LnX自社オウンドメディアの記事一覧画面と、113記事・ページ表示回数約7倍・問い合わせ約15倍を示す数値パネルおよび表示回数の推移グラフ
約3ヶ月で113記事を入稿/ページ表示回数 約7倍/問い合わせ 約15倍(LnX自社オウンドメディア「Web集客の実務ノウハウ」・2026年6月〜)。記事構成の設計から本文生成・HTML入稿・内部リンク・sitemap.xml/llms.txtの更新までをAIの日次タスクとして定義し、キーワード選定と記事の狙い・一次情報の判断は人が担当しています。出典:LnX合同会社 支援実績(事例詳細はこちら

AIO側の指標も同じメディアで測っています。生成AI経由のインプレッションは約7倍、外部ツールによるAIOスコアは100点満点中91点(Bランク)という結果でした。内訳は、AI基本メタ情報が10/15点、AI構造化データ・FAQが31/35点、サイト動線・文章・使いやすさが30/30点、AI技術基盤が20/20点です。

生成AIインプレッションの推移グラフと、AIOスコア91点の項目別内訳
生成AIインプレッション 約7倍/AIOスコア 91点(100点満点・Bランク)。スコアは外部提供のAIO評価ツールによるもので、構造化データ・FAQ・サイト動線・技術基盤の4領域で採点されています。AIO対策を発注するなら、こうした項目別の採点まで提出させると、各社の「AIO対応」の中身を同じ形式で比較できます。出典:LnX合同会社 支援実績(事例詳細はこちら

この数字をそのまま自社の目標に置かないでください。条件が違います。当社の場合は「記事コンテンツがほぼゼロで指名検索以外の流入がない」という起点だったため、倍率が大きく出ています。使い方としては「この規模の投入本数で、どのくらいの期間から動き始めるか」という時間軸の参考にするのが適切です。倍率の大きさより、3ヶ月・6ヶ月の各時点で何が動いたかを各社に説明させてください。

見積もりで警戒すべき5パターン

1

「AI検索にも対応」としか書かれていない

AIO対応は、診断だけなのか、構造化データやllms.txtの実装まで含むのかで工数が数倍変わります。明細に実装項目が書かれていない提案は、記事にFAQを足すだけで「対応済み」とされることがあります。成果物の形式(レポートなのか、実装されたHTMLなのか)で確認してください。

2

順位保証・AI引用保証をうたう

検索エンジンも生成AIも、アルゴリズムは外部からコントロールできません。保証できないものを保証と呼んでいる時点で、成果の定義が別のものにすり替わっています。「どのキーワードの何位」を保証するのか、その根拠を聞くと、たいてい競合のいない語だと分かります。

保証の対象キーワードに検索需要があるかを必ず確認する
3

本数だけが大きく、単価が極端に安い

生成AIの普及で制作単価は下がりましたが、下がったのは作業工程のコストであって判断の工程ではありません。キーワードの選定と記事の狙い、盛り込む一次情報を誰が決めているのかを聞いてください。ここに人が入っていない量産は、公開しても読まれず、引用もされません。

4

成果指標が「順位」だけになっている

順位が上がっても、表示回数と流入と問い合わせが動かなければ事業成果はゼロです。順位だけを報告する契約は、検索需要のない語で上位を取っても達成扱いになります。表示回数・流入・問い合わせまで報告項目に含めさせてください。

報告フォーマットを発注側から指定し、全社に同じ形式で出させる
5

内製移管の話をすると急に曖昧になる

将来的に社内で回す前提を伝えたときの反応は、その会社の姿勢がよく出ます。手順の文書化や研修に対応できるかを聞くと、ノウハウを抱え込む方針かどうかが見えます。移管する予定がなくても、聞いてみる価値のある質問です。

比較シートのチェックリスト

各社に同じ形式で出させる項目

【支援範囲】

  • キーワード設計・構成作成・執筆・画像・入稿・内部リンクのどれが含まれるか
  • 構造化データ(JSON-LD)の実装が含まれるか、成果物は何か
  • sitemap.xml・llms.txtの更新まで含むか
  • 公開後のリライトが本数に含まれるか、別枠か
  • 取材・一次情報の収集が必要な場合の追加費用

【金額の揃え方】

  • 「公開状態になった1記事あたりの総額」に直して比較した
  • 初期費用に含まれるものを項目単位で出してもらった
  • 最低契約期間と、期間内の解約条件を確認した
  • 本数を増減させた場合の単価変動を確認した

【成果指標と体制】

  • 報告する指標を発注側から指定し、全社同じ形式にした
  • 3ヶ月時点・6ヶ月時点で何が動く想定かを説明させた
  • キーワード選定と記事の狙いを誰が判断するか確認した
  • 記事の著作権が譲渡されること、解約後も掲載継続できることを書面で確認した
  • 内製移管に対応できるか(手順の文書化・研修の有無)を聞いた

この比較シートは、そのまま各社に渡してしまって構いません。同じ様式で埋めてもらえば、金額の差がどこから来ているかが一目で分かります。埋められない項目が多い会社は、支援範囲が固まっていないか、その工程を自社で持っていないかのどちらかです。

SEO・AIO対策/オウンドメディア運用代行

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LnXの見解

相見積もりで金額だけが並ぶのは、発注側の準備不足ではなく、この業界に共通の様式がないことが原因です。だから比較の第一歩は、各社に合わせるのではなく、発注側が様式を決めて全社に同じ形式で出させることになります。上のチェックリストをそのまま送っていただいて構いません。埋まらない項目がどこかを見るだけで、各社の得意・不得意がかなり分かります。

もうひとつ、AIO(LLMO)を「SEOの次にやる別施策」として見積もっている提案には注意してください。分けて発注すると、記事を作り終えたあとに構造化データを後付けする二度手間になります。当社が自社メディアで約3ヶ月・113記事、ページ表示回数約7倍・問い合わせ約15倍という結果を出せたのは、1本の記事を作る手順の中にSEO要件とAIO要件を同時に埋め込んだからです。「質問に対して、その場で結論が読み取れる構造になっているか」という一点で、検索エンジンと生成AIの評価軸はほぼ重なります。分けないほうが安く、速く、精度も上がります。

そして本数の話です。生成AIによって制作の単価は確かに下がりましたが、下がったのは作業工程であって判断の工程ではありません。当社もキーワードの選定と記事の狙い、盛り込む一次情報は人が決めています。判断は経験者、作業はAIという切り分けが、本数と内容の質を両立できた理由です。見積もりを比較するときは、この切り分けが提案の中でどう設計されているかを見てください。LnXでは、SEOとAIOを同じ制作フローで満たすオウンドメディア運用を、設計から入稿・レポートまでまとめてお引き受けしています。他社の見積もりを並べた状態でのご相談も歓迎です。

よくある質問

Q 見積もりは何社から取るのが適切ですか?

3社前後が現実的です。それ以上増やすと、比較を揃える作業のほうが重くなります。重要なのは社数より、タイプの異なる会社を混ぜることです。記事作成代行・SEOコンサル・一気通貫型からそれぞれ1社ずつ取ると、自社に必要な支援範囲がどこなのかが見えてきます。同じタイプの会社を3社並べても、金額の差しか分かりません。

Q 「月8本・15万円」と「月4本・15万円」なら、前者のほうが得ですか?

1本の定義を揃えるまで判断できません。前者が執筆のみで入稿・画像・構造化データが別料金なら、公開状態になった1記事あたりの総額は後者を上回ることがあります。比較するときは本数と月額を割り算するのではなく、キーワード設計・構成・執筆・画像・入稿・内部リンク・構造化データの各工程が含まれるかを一覧にしてから、公開1記事あたりの総額に直してください。

Q AIO対応をうたう会社の見積もりは、何を見れば中身が分かりますか?

成果物の形式で切り分けるのが確実です。「診断レポートの納品」なのか、「構造化データやllms.txtがサイトに実装された状態」なのかで工数はまったく違います。明細に実装項目が列挙されていない場合は、記事にFAQを足すだけで対応済みとされることがあります。JSON-LDの種類、対象ページ数、サイト側の改修範囲を項目で出してもらってください。

Q 順位保証をうたう会社は、選択肢から外すべきですか?

保証の対象キーワードを確認したうえで判断してください。検索エンジンのアルゴリズムは外部からコントロールできないため、保証が成立するのは競合がほとんどいない語に限られます。そうした語で上位を取っても、検索需要がなければ流入も問い合わせも増えません。保証の有無より、表示回数・流入・問い合わせまでを報告項目に含められるかどうかを基準にするほうが実務的です。

Q 成果が出るまでどのくらいの期間を見ておくべきですか?

検索側の数値が動き始めるのが3〜4ヶ月目、事業成果として問い合わせが動くのは6ヶ月目以降を目安に置いてください。当社の自社メディアでも、約3ヶ月で113記事を積んだうえでページ表示回数が約7倍という推移でした。この期間を短く見積もった契約は、成果が出る前に判断を迫られることになります。最低契約期間が6ヶ月程度に設定されている提案は、この時間軸から見て妥当です。

Q 契約後に社内で回せるようにしたい場合、何を確認すればよいですか?

運用手順の文書化と、社内担当者への研修に対応できるかを聞いてください。あわせて、記事の著作権が譲渡されるか、解約後も掲載を継続できるかを書面で確認します。ここが曖昧なままだと、積み上げた記事が資産にならないまま契約に縛られます。移管の予定が現時点でなくても、この質問への反応でノウハウを抱え込む方針かどうかが分かります。

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